<前半>「新型コロナ問題で身の回りで起きていることを話し合おう」座談会を開催

「最近、身の回りで起きていることを話してみようよ。点と点の情報が、線になってつながって、そのうち面みたいに広がって行くかもしれないよ」

そんな会話をしてハローニュースのメンバーが集まった。3月30日、「志村けんさん死去」の速報を受け取った朝のことだった。

目次

「どんなこと聞いている?」

鈴木 定額制空き家住み放題サービスのアドレスでは、2月から新規会員が1.5倍増えたそうです。メルマガ会員も3月は3,000人を超えたと言われていました。テレワークが増えて通勤する必要がないから、この機会にいろいろな場所に住んでみようという人が増えたのか。はたまた家とは別にテレワークをする場所として借りてみようと考えた人もいるのか。

吉松 実際、知り合いの30代女性も、テレワークになったのを機にあちこち行ってみると言っていたよ。会社から電話やメールが来ても、要は連絡さえ取れれば問題ないと言っていました。一時滞在先としてどこがいいかと聞かれたので、去年取材した、奄美大島と門司港を勧めました。

三枝 「賃貸だから自由になれる」ってあるよね。

「賃貸だから自由になれる」

これは賃貸入居者の最大の強みかもしれない。

埼玉で高齢の両親と暮らす、ハローニュースメンバーのささき三枝は、外出を自粛している両親と四六時中一緒で、さすがに息が詰まった。会話もなく、3人でぼーっとテレビを見ていた時、岡山の田舎町の一軒家で地域の子供たちと交流しながら楽しそうに暮らす家族が紹介されていた。

「ねえ、ここに引っ越さない?」

考える前に口から出ていた。「ああ、いいね」。普段は何をするにも億劫がる父が、即座に賛同した。「あはは」。久しぶりに3人で笑った。

山口 今回の一件で、家とか暮らしとか家族とのこととか、考える転機になっている気がします。

鈴木 うちも子供が寝た後、自然に妻と、お金のこととか、子供の将来のこととか、親のこととかを話したりしています。そんなこと、コロナ以前はなかった。

黒後 さっきの三枝さんの話にもあるように、「そこで生きる理由ってなんだ?」って考えるようになってきている気もします。

「そこで生きる理由ってなんだ?」

定額住み放題多拠点プラットホームのアドレス、多拠点生活者のために賃貸マンションを提供するニクラス、借りながら持ち家にする「家賃が実る家」、外泊するほど安く住める家のunitoなど、「家」がこれまでとは全く異なる価値観で語られ始めている。

例えばニクラスの場合。会員となり、本拠地となる部屋を決め、家賃を払えば、自分が出張でいない時は民泊として貸し出すことができる。また出張先では、別のニクラス会員の物件に無料で泊まることができるという。社長の吉田浩司さんは一級建築士で元々出張が多かった。場所を選ばず仕事をすることで業務の幅が格段に広がることを実感しつつも、多拠点に部屋を借りるとなるとコストがかかる。「自由に泊まれる部屋をあちこちに作れないか」、そんな自身の希望を具現化したのがニクラスだ。「一人一人の○○に暮らす」を応援する思いから、サービス名称は、「ニクラス」にしたという。

そこに生きる理由は、「居場所作り」「つながりの場」「旅の一部」「人に貸したり借りたり」、かつてないほど色々だ。

株式会社ixrea(建築事務所)の代表取締役、吉田浩司さん(右)

小野 住む場所が自由になることで、地方が見直される機会になるんじゃないかな。

吉松 テレワーク、リモートワークの浸透で、東京や職場の近くにいる意味が薄れてきているのはありますね。鳥取出身の友人が言ってたけど、鳥取はまだ感染者が出ていないということで、「ここなら安心」とばかりに、最近移住者や県外ナンバーの車に乗った人が急に増えたと話していました。

鈴木 まるで「疎開」ですね。地元の人からしたいい迷惑だったりしないんですかね。

山口 それはあるかもしれないけど、3.11の後も、沖縄のマンションが売れたり、福岡や西日本に移住する人は増えましたよね。

黒後 「疎開」といえば戦時中の言葉だけど、戦時中は、食べ物を育て自給自足できる農家の方が戦下を凌げたという話はよく耳にしますが、コロナを機に、「自給率」について考える人が増えるんじゃないかな。

吉松 それを聞いて、先々月取材した福井県在住の角舞子さんという女性の言葉を思い出します。
「亡くなった父が遺した田んぼや畑は売らずに残しました。将来のことなんて分からなし、いつ食糧危機が来るかも分からないから。わたしも母も農業はしていないので、農業をしたい人たちにレンタルしています。それによって得る少しの収入で、彼らからお米や野菜を購入しています」と。つい1ヶ月くらい前の話で、その時は「食糧危機?!」って笑ったけど、外出自粛の記者会見直後スーパーから食べ物が消えたのを見てしまった今は、現実のことに思えてしまう。

スーパーの食品棚から食料品があっという間に消えた

黒後 アフターコロナ・ビフォーコロナで、常識が常識でなくなっていく感じがしますね。

吉松 常識なんて無視した思い切った発想は生まれてもいいかも。リモートワークで空いた都心のオフィスビルで野菜を育てるとか!

鈴木 Twitterで見たのですが、千葉にあるホテルで「空いている部屋と食事を無償で提供するので、ホテルのテーマ音楽を作ったり、レストランに飾る絵を書いたり、料理の写真を撮って欲しい」というのがありました。こういう、空き家を提供する代わりに、所有者のために何かをやってもらう、というのも流行るかもしれません。

小野 「バーター賃貸」ですね!おもしろい!

山口 ただ、契約形態や法的責任、事業継続性など疑問はありますけどね。ただ既存の商慣習とかにとらわれない発想はこれからいろいろ出てくるかもしれませんね。

変わる家での過ごし方

吉松 以前、いい生活の代表取締役、北澤弘貴さんが講演の時言われていたけど、「一般的な企業は、4〜10年で社長が変わる。ただ賃貸業界の場合は、30年に一回だと。だから変革が起きるのは30年おきなんだけどその分その振り幅がでかい」と言ったようなこと言われていたなあ。

鈴木 話は変わりますが、週刊ハローニュースの「DIY」に関する記事「実際にDIYをやってみた ~壁紙編~」が最近かなり読まれています。

関内のシェアスペース「はろ~ず」の壁紙を貼っている様子

黒後 家にいてもやることないから、この機会にDIYに精を出しているってこと?!

三枝 だとしたらDIYブーム第二波がくるかもですね。確かに以前編集部でDIYやった時も1日がかりだったから、時間を潰すにはちょうどいいよね。ほどよく汗もかくし、肉体労働だから体も使うし。本当に家の有り様がどんどん変わっていきますね!

小野 家の有り様が変わるというので私からもいいかしら。うちは大学生の息子と娘と夫と4人暮らしなんだけど、夫がこの2ヶ月ずっと在宅で家にいるんです。子供達も春休みで家にいるでしょう。それで大学3年生の息子はウェブ会議で就活や面接、夫は会社とウェブで会議をするから、お互いが邪魔にならないようにするのが本当に大変なんです。違う部屋を使ったり、会議中は画面に映らないようにとか声が入らないようにとか、他の家族がとても気を遣っています。

吉松 普段しない片付けまでしちゃうとか?笑

小野 まあそういうのもあるけれど、これから家で仕事をするための間取りやレイアウトって本当に大切になってくると思います。アマゾンでは「テレワーク特集」が組まれていて、関連の家具やグッズ等の販売も始まっていると聞きました。

山口 いつか振り返った時、さっき黒後さんが言った「アフターコロナ・ビフォーコロナ」で様々なことが変わったと言われるような転換期に私たちは今立っているのかもしれませんね。

吉松 引き続き、情報収集していきましょう。

後半はこちら

Hello News編集部

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次