民泊×マンスリーで物件を通年稼働

住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日から施行され、様々な規制ができた。通常の民泊事業者登録では、通年営業できないことから、民泊をやめるホストもでてきている。今回、貸し方を変えることで、通年営業ができる方法をお伝えする。

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185日の活用を提案

住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日から施行され、180日の営業制限がかかるようになった。年間を通して民泊営業をする場合は、簡易宿所や旅館業の許可を取らなければならない。しかし、一般の住宅(賃貸住宅も含む)が許可を得るためには、簡易宿所や旅館業許可の基準に合うよう改修が必要となり、多額の費用がかかってしまうケースが多い。そこで月単位で部屋を貸し出すマンスリー事業に注目が集まっている。マンスリーと併用することで、簡易宿所や旅館業を取得せずに通年稼働させることができるからだ。

マンスリー事業や社宅管理代行を行う司ネットワークサービス株式会社(東京都新宿区)代表取締役社長の宮崎壮さんによると、2年半ほど前からマンスリーと併用して貸したいという問い合わせを受けるようになったという。当時、民泊の供給がふくらんだことで稼働率が低下し、それを埋め合わせる形で予約の入らなかった期間をマンスリーとして貸し出したいと希望するオーナーが増えた。

予約受付期間を区切る

民泊とマンスリー、時に、ウィークリーを併用するポイントは、始めの180日は民泊のみで予約を受け、残りの185日はマンスリーの予約のみを受ける形で区切ることだと宮崎さんは説明する。その理由を、「民泊は3~4カ月先の年末年始に3日間という具合にピンポイントで予約が入ります。一方、マンスリーの場合、12~2月の3カ月間利用したいと問い合わせがくるので、年末年始に数日でも予約が入っていると、そこに壁ができて予約が受けられなくなるからです」と話す。ちなみに観光シーズンである3・4・7・8・12・1月を民泊、それ以外の月は民泊の予約を受け付けずにマンスリーとするのがおすすめだという。

同社では、マンスリーの運営代行を請け負っており、料金は、初回の登録料3万円(税別)に加え、代行手数料(宿泊料から清掃費を除いた金額)がシングル15%、ツイン以上12%としている。集客は、マンスリーマンションのポータルサイトに物件を掲載するほか、同社のリピーターを送客するという。

民泊オーナーからマンスリーについての問い合わせは、以前であれば週に1〜3件程度だったが、民泊の届出・登録申請が始まった3月以降から徐々に増え始め、5月に入ってからは、週7件ほどまで増えたという。

新しい住宅のカタチ

東京スカイツリーのおひざ元に、話題のシェアリングをコラボレーションさせた物件「Asakusa 1976」(東京都台東区)が存在する。

「Asakusa 1976」は4階建てで、1階は旅館業を取得し、一部屋最大4人が宿泊できるホテルだが、2階から4階はシェアハウスとして運営している。1つの建物内にホテルとシェアハウスが存在し、住人と旅行者は交流を楽しむことも可能だ。暮らしをより豊かにするという観点からこのようなハイブリッド型となった。シェアハウスは全部で4室あり、家賃は5万~7万円+水・光熱費で、現在は満室だという。ホテルは1泊1万7000円から宿泊できる。ホテル予約サイトのbooking.comや民泊仲介サイトAirbnbから予約可能だ。ちなみにAirbnbの違法物件が一斉削除されたことで、ホテルの予約率が上がっているとのこと。「Asakusa 1976」の運営を行う株式会社Livmo(リブモ・東京都千代田区)代表取締役社長の源侑輝さんによると、全フロアを改修すると費用が割高となるため、1階のみ改修して旅館業を取得したという。

源さんは「部屋を細かくわけて貸し出すシェアハウス、1日単位で貸し出す民泊。どちらも賃貸住宅の延長線上にあるものだと思います。旅館業を取得することで、このふたつをスムーズに共存させることができます」と説明。

ひとくちに物件を貸すといっても様々な切り口があり、必要な用途・期間でニーズにあった貸し方を工夫する時代になったといえる。

Hello News編集部 須藤恵弥子

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