東京五輪前に学んでおきたい!日本の観光政策の「良いところ」「悪いところ」

梅沢励
日本に2つ、アメリカに4つ、合計6つの家を持ち、4台のマイカーを乗りこなして自由な移動を繰り返す“現代版フーテンの寅”こと、梅沢励さん。東京、千葉、マイアミ(フロリダ州)、オーランド(フロリダ州)、ジャクソンビル(フロリダ州)、アトランタ(ジョージア州)を行き来する「多地域居住」の暮らしは、今年で16年目に突入した。5年前、グリーンカード(永住権)を手に入れ、生涯アメリカ居住を宣言。オンラインアパレルショップで生計を立てながら、週末は、アメリカ国内の催事場で日本から運んだ飴玉やグミ、チョコレートを売りさばく気ままな暮らしを楽しんでいる。

本連載は、アメリカ人とニッポン人、双方の感覚を併せ持つ寅さんこと励さんが、リアルで痛快な「多地域居住ライフ」を紹介する本邦初の手引書である。今回は日本とアメリカの“文化”と“観光政策”の違いについてお伝えする。

目次

「日本の電車網は有効な観光政策だ」

日本の観光地で外国人を多く見かけますね?それは日本が魅力的だからの一言に尽きます。島国で、こんな小さな国なのに、世界中の人が知っている。世界で売れる車を作ってるとか、SONY、TOYOTA、TOSHIBA、NIKON、世界中の一般家庭に置かれている物に日本製、日本のブランドの物があります。それでいてとても特異な文化があって、とても興味深い。

なんだサムライって?なんだ相撲って?なんだ寿司って?って事前に勉強している。

日本に来てみて、旅館だ!温泉だ!新幹線だ!あんだって?温泉は裸で入るのか?タトゥーはタブーなのか?新幹線って凄く静かだ!うぉー、時刻表通りピッタリに発車するぞ!!!

何もかもがカルチャーショックなんです。

僕も同じ、アメリカに来て、毎日がカルチャーショックの連続だった。あまりの違いにショック(インタレスティング=興味深い、ファシネイティング=魅力的)を受けた。

日本に行ったことのある友人に話を聞くと、東京!京都!大阪!そのうち、広島!福岡!金沢などなど、各地に新幹線で出かけて行ってるんですよね。

20歳の頃にロンドンで出会った台湾人のお姉さんが、「大阪は素敵な場所だった」と教えてくれた。僕はその時、まだ大阪に行ったことがなかった。アメリカに来てからも、あちこち行っている人の話を聞いて、日本人の僕よりも日本観光をしていることに驚いた。何より、そんなに新幹線に乗りまくって、一体いくらかかるんだ!!!という疑問があったのだが、よくよく聞いてみると、、、外国人は新幹線乗り放題らしい。

「新幹線乗り放題」ですよ!それなら、東京も京都も大阪もたくさん行ける!そりゃ納得できる!一体なんなんだ!と調べてみると、「JRパス」という外国人のみが買える特別なチケットがあるらしい。

これなんと!2万5000円程度で新幹線が7日間乗り放題!

いやいや、新幹線どころではない、JR線ほぼ全部乗り放題だ。北は北海道から南は九州までのJRほぼすべて乗り放題!それで2万5000円ですよ!東京~大阪って自由席でも片道1万3000円はしますから。。。東京~大阪を往復すれば元が取れる。これは「ずるい!」(笑)

もう少し詳しく書きますとね、7日間指定席で2万5000円、グリーン席で3万5000円です。ほかにも14日間、21日間というのもあります。海外在住の人も使えます。そう、僕も使っています!!!

ちなみに余談ですが、日本の高齢者65歳以上向けに、1万5000円で4日間、JR東日本乗り放題「大人の休日倶楽部」というのもあります。

外国人が日本に来ると観光がたくさんできますね。ただし、イギリス領を除いた外国では、一般的に車は左ハンドルですから、日本の右ハンドルというのは外国人にとって危険。JRという電車網は国として誇れる交通システムです。これを外国の方が自由に使えるようにしているのはとても有効な観光対策だと思います。

英語ができない日本人

もっともショックなのは、日本人は総じて英語がヘタクソなこと。世界を見回すと、日本人と韓国人はとっても英語がヘタクソです。それは僕が、語学学校に何年も通った経験からも明らかに「僕らはヘタクソ!」と肌身で感じます。言語学的な意味は分かりませんが、義務教育の中学で3年、多くの方は高校で3年、合計6年間も英語を勉強してるにも関わらず、会話ができると言えば、

「Hello, How are you?」

「I am fine thank you」

「And you?」

程度ではないでしょうか?もう1文言える!これだ!

「I can not speak English!!!」

6年の英語教育の成果がこの程度。

これには外国人もびっくり仰天です。一体お前ら何を勉強したんだ?

最近の英語教育は変わってきている?良く分かりませんが、いずれにしても言葉が通じないのは外国人にとって不自由です。

もっとボトムアップして、誰もが外国人と話ができるような精神を鍛える方法が欲しいですね。身振り手振りでもコミュニケーションを図ろうとする、そういう精神が欲しい。

ただし、僕は現状の日本人が好きです。

外国に行き、「日本語で話をしても、お前の言ってることは分からない!」という目で見られます。日本人は、「一生懸命、英語を使って説明しようとする」。日本国内でもそうです。何か伝えようとする人は、「一生懸命英語を使って説明しようとする」。

日本にいるのだから、「日本語で、一生懸命説明しようとすればよいと思う」。外国から来る人も、それを受け入れる日本人も、「日本語」で会話をしても良いと思うのだけれど、そこは「英語」なんですよね。英語が共通語だと言えばそれまでですが、一生懸命に説明しようとする態度はとても好印象だと思います。

日本語でも通じますよ。私の友人で過去に1人だけ、日本語で全部説明を貫いた人がいました。ロンドンのマクドナルドで、「ハンバーガーひとつ!!!」って人差し指を1本立てて、自信をもって、注文していました。相手はハンバーガー1つをちゃんと出してくれた。

伝えようと思えば伝わる。そうやって外国人とコミュニケーションを図ってみると良いと思う。

新宿御苑の入口の監視員(73)は、外国人とのコミュニケーションを無視して、無料で入場させていた。その数37万人ですよ。理由は「外国人と話すのが怖かった。。。」。このあたりの根本を直していくことを観光政策としては何か掲げて欲しいですね。僕らは外国人を受け入れる側にいるんだという意識が欲しい。

もしかしたら、僕らは、外の人に対して優しくないのかもしれません。

エスカレーターで片側に寄ってない人を邪魔だと感じたり、ラッシュアワーにベビーカーを持ち込む人を嫌ったり。そして老人に席を譲らず、マタニティーハラスメントをする。コンビニで働く外国人は、機械労働者としてコミュニケーションを図らない。

独自の文化を守ることが魅力的なのはよくわかりますが、良いところを学び、悪い所を修正するという柔軟さは欲しいと思います。

アメリカ人の考え方はとても効率的

さて、アメリカ社会と言えば、とても効率的なイメージを私は覚えています。

先月のゴールデンウィークに広島へ行きましたが、人がわんさか!!!新幹線のチケットをとるのも大変でした。朝4時に起きて電話してチケットを取る。

名古屋から東京に自由席で来た方の話ですと、「こだま」に乗ったと言っていました。

ホテルをとるのも大変!どこもかしこも満室なんです。日本から海外に出かける方は旅行代金が4倍とか!まさか!ですよね。でもここしか休みがないから仕方ない。。。でも、大学生なんかこの休日に授業があるんですって。

一体なんなんだ!!!!こんな非効率なことがあってたまるか!と思うのですが、皆さんそうは感じていない様ですね?何故?

アメリカで運転したことのある方ならば分かっていると思いますが、アメリカでの右折は信号が赤でも行けるんです。これは合流と変わりませんから、合流する意識で車をよく見て進めばよいのです。

だいぶ昔の日経新聞に当時の国連総長、明石氏が書いていました。「日本人は誰もこないド田舎の赤信号で車をしっかり止めて待つ」。

大抵の国では信号無視するみたいです。歩行者信号は無視しますけどね。これはきっと、罰金ルールが関わっているんだと思います。罰金ルールの場合、しっかり守ったほうが良い。そうやって考える。スピード違反はその限りではないのは周りでみんながやっているからかな?

いずれにしても、ルールが効率的ではないんですよね。誰も来ないじゃん!だから変更していく必要があるのでは?

アメリカにも大型の連休があります。スプリングブレークと言いまして、春休みのことです。学校が休みになるから、家族旅行に出かけます。僕の住むフロリダは、観光リゾート地のため、休暇を過ごすために全米から人が集まります。2月から4月までの2ヶ月はスプリングブレークで混み合います。

日本の休みと違うのは、、、州ごとに休みがズレているんです。2月に北の方から休みが始まります。北部の方がまず来る。そして中部の方が来て、南部の方がくる。こうすると、フロリダはずっと忙しいんです。そして、渋滞も緩和されます。観光客にとっても受け入れ側にとってもWIN-WINなんですよね。日本の観光地のゴールデンウィークは忙しすぎる。そしてゴールデンウィーク後は暇すぎる。サマータイムなんか叫ぶ前に効率的な方法を見つけられないのでしょうか?

お盆は一般的に8月15日から始まりますが、東京のお盆は1ヶ月前の7月15日から始まります。それは忙しい時期に地方から縁者が来ても一緒にゆっくり過ごせるようにという説があるそうです。だったらゴールデンウィークや、夏休み、冬休みも地方ごとにちょっとずらしてみてはどうなのだろうか?他の文化から学び取れることがあるように思います。

梅沢励

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次