地場ゼネコンで働く女性社員のSNS発信奮闘記

「SNSを活用したブランディングが大事」

多くの経営者にとって、これほど“言うは易く行うは難し”のことはないだろう。

ましてやそれが地方の地場ゼネコンで、ところどころに古い体質が残る会社だったら?

様々なハードルを少しずつ乗り越え、SNSを使った宣伝に心を砕く社員たちがいる会社がある。鹿児島の建設会社、ユーミーコーポレーションだ。中心になっているのは一人の女性。経営企画部企画課の木原あゆみさんだ。

会社としてSNSをスタートしたのはいつからですか。

2014年にFacebookページを開設し、2017年にInstagramをはじめました。それぞれ会社のイメージキャラクターである、「ユーミーマン」のPRに活用しています。


●Facebook⇒https://www.facebook.com/youme.man919/
●Instagram⇒https://www.instagram.com/youmeman/

具体的には、どういった発信を、どういった頻度でされていますか。

主には、会社で建設している賃貸マンション「ユーミーマンション 」の完成見学会や内覧会の様子を、ユーミーマンの目線で発信しています。
あえて、直接的に事業の内容については触れないようにしていて、内容はゆる〜い感じにしています。全国の「ユーミーマンション」をご存知でない層、特に20〜40代の女性や主婦の皆様に届けばいいなと思いながら発信しています。
頻度は1日1回。カフェやスイーツの写真を織り交ぜながら、癒やされる雰囲気を心掛けています。

一日一回ということは、休みの日もですか。時間は決めていますか。

Facebookは予約投稿ができるのですが、Instagramは基本365日です(笑)
昼食時間と午後3時、あとは夜になります。昼食時間付近での投稿がもっとも閲覧が伸びると実感しています。

木原さんが5年前にSNSをスタートした時、辛かったことややりにくかったことはありましたか。

経営企画という部署柄、常に新しいことを見つけるのが仕事なので、SNSを始めることに対しての批判や反論などはなく、辛かったということはあまりなかったです。
ただ建築会社なので、当初はSNSをやっている人も少なく、興味を持って貰えない、やることの意義を理解してもらえないという淋しさはありました(笑)

社内での理解をどんな風に得ていきましたか。また、社内でSNSに対する意識が変化してきたことを感じる瞬間はありますか。

社員にもキャンペーンへの参加を声がけしたり、社内のグループウェアで状況報告を行ったりしてきました。ただやはり一番響くのは、外部からの反響だったと思います。
時代の流れと言いますか、インスタが流行したことは大きな転機になったと思います。
LINE@、Facebookだけ運営していた頃は、一方的な発信になることが多く、なかなかコミュニケーションの場を作り出すことが出来ませんでしたが、インスタを始めてから外部からの反響が大きくなり、結果的に社員にも興味を持ってもらえるようになったと思います。

目次

実際の入居につながり感激

得られた反響や効果について具体的に教えてください。

まだまだ少数ですが、SNSを通じて「ユーミーマンション」の存在を知り、実際にご入居いただいたという方がいました。
また次回引っ越しする時の検討候補に入れたという方もいらっしゃって……。初めて実際にユーミーマンションに引っ越したという声を聞いた時は、本当に嬉しかったですね。
お客様の投稿を一部だけご紹介すると、
「転勤で物件探しをする時にユーミーマンの顔が浮かんで、ユーミーマンションの物件を検索したユ。(中略)不動産屋さんからの送られてきた候補書類の中にいくつかユーミーマンののぼりが写った物件写真とかロゴがあって大興奮で下見に行ったユ〜!!そしてその日のうちに決めたユ♡」
これには感激しました。
また、Web上で行った5回のキャンペーンでも反響がありました。キャンペーンは、具体的には、#タグにユーミーという言葉を必ずつけて、写真を投稿してもらうというものです。
参加者が自然とユーミーブランドを認知できるように意識しました。テーマに合って目を惹く投稿をしてくれた方には賞品をプレゼントしましたが、想像を超える応募があり、集計が大変だったほどです(笑)ちなみに賞品には、「ユーミーマン」のぬいぐるみも入れました。

どんなタグがありましたか。

例えば、「#ユーミーマン見てユ」「#ユーミーマン夏だユ」「#ユーミーマン秋みつけたユ」「#ユーミーマン冬っていいユ」「#ユーミーマン春きたユ」でした。
5回キャンペーンを行い、1日平均3,000件、約17,000件もの投稿をいただきました。キャンペーン後には、ユーミーマンとお子様が一緒に写った写真を公開してくれるなど、ユーミーマンを通じて、ユーミーマンションという賃貸マンションがあることを知っていただくきっかけになったと思います。

毎日の更新は大変だと思いますが、発信するネタはどういった時に決めていますか。また、発信することがなくて困った、という時はどうしていますか。

イベント等、販促スケジュールが分かっている時以外は、あまり型にはめたくなくて、その日の感覚に任せています。食事とスイーツは鉄板なので投稿頻度は高いですね(笑)   
確かにネタは尽きそうになることの連続です。ですから写真は極力撮り溜めています。

企業のSNSを活用したブランディングを進める時、どういったことに難しさを感じますか。また心がけていることなどあれば教えてください。

キャラクター設定、投稿頻度、批判はNGなど、ある程度の運用ルールを策定した上で運用しています。ユーミーマンションのブランディングを考えると全国に展開にしたい。ですからあえて地域色は出さず、全国各地のお客様がみても違和感が少ないように心がけてます。
ただ、ひとつだけこだわりがありまして、担当者同士で話し合った結果、気軽にユーミーブランドを認知してもらいたい、ユーミーという名前を知ってもらいたい。そう思い、発言の語尾に「ユ」を付けて、コミュニケーションを図りやすくしています。
例えば、こんな感じです。
「おはユー♡  関東は今日から梅雨入りだユね…。しばらくジメジメした天気が続くと思うけど、現場は安全に今日も一日頑張ろうユん♪」
かわユくないですか?(笑) 
どうしても専属担当となってしまうところがあるので、個人の色が出ないように、あくまでもキャラクター設定を崩さないように気を付けています。
とはいえ、ある程度人間味が出ていた方が、一般の方にも親しんでもらいやすいのかなとも思っています。

モットーは「迅速・丁寧・マメ」

これからの課題はなんでしょうか。またそれを解決するためにどういったことをしていきますか。

ユーミーマンションが認知されていないエリアでの認知拡大、学生さんへの周知とイメージアップによる採用活動のサポートが目標のひとつです。そのために、ユーミーコーポレーションの栃木支店、本社の不動産事業部であるユーミーネット鹿児島でもアカウントの運用を開始しました。ユーミーマンションのFC加盟社様でも数社で運用がスタートしています。
きちんと運用できる様にフォローし、先行しているユーミーマンから全国の直営支店、加盟社様のアカウントをフォローしていく仕組みにしたいなと夢をみているところです。

フォロワー数やSNSからの成約数など何か数字の目標とか決めていますか。

SNSを経由した入居者の数については、まだ具体的な目標を立てるまでには至っていません。
現状は、認知向上と営業補完という感じで活用しています。少しでも早く運用フローを確立させて、目標を立てられるくらいになりたいですね。
その代わり、フォロワー数はキャンペーンごとに設定しています。昨年の七夕には「お友達1,000人欲しいユ」と願いを込めて投稿したところ、無事に1,000人作ることができました。

SNSをスタートして5年、特にWeb戦略について感じていることはありますか。

思っているよりもWeb上のユーザーは優しく寛大だなと感じています。
ゆるくではありますが、対応は「迅速・丁寧・マメ」を念頭に運用を続けています。オフラインの取り組みとオンラインの取り組みは大きくは違わず、むしろオンラインでは、さらに配慮と気遣いが必要だと思います。
ただし、あまり気を使い過ぎると発言できなくなりますから、バランスが大事ですね。

土日(業務時間外)でもSNSを更新するほど熱心に、自分で考えながらアップできるような人材を育てるには、経営者としてどのようなことをすれば良いと思いますか。

あまり偉そうなことを言える立場でもないですが……。
担当が会社・キャラクターを好きだということが大前提なので、そういう環境を作れているかということが一番大切だと思います。
その他でいうと、例えば、
・会社自体のSNSというものへの一定の理解(予算も含めて)
・ルールづくりは行った上で、ある程度担当に権限を移譲する
・担当者のモチベーション維持、達成感を味わうための目標設定
(当社の場合、目標設定のラインは、ある程度担当者側で設定して会社へ企画提案しています)

SNSは、地味でコツコツした作業が多いですが、自分たちで考えた企画が実際の形になってフォロワーの反応やキャンペーンの成果として返ってくることがやりがいになります。楽しみながら続けられることが分かれば、きっと高いモチベーションで取り組めると思います。

最後に、木原さんにとってユーミーマンとは?!

気持ち的には、分身かユーミーマンのマネージャーだと思っています(笑)
入社時からユーミーマンのことを考えて働いてきたので、仕事をする上でなくてはならない存在ですね!

Hello News編集部 吉松こころ

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