新型コロナ対策に見る企業の姿勢

4月7日の緊急事態宣言発表で、働き方はどこまで変わるのか。「他の会社はどうしてる?」。いつもなら仕事帰りの居酒屋で聞ける話が今はムリ。業界紙出身記者2人が集めた情報を、イニシャルトークで紹介したい。

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「今回の対応」が会社選びの基準に

吉松
昨年5月2・9日号の週刊文春で、6ページにわたって「五輪選手村格安払下げ問題」を報じたり、東洋経済で不動産関連の特ダネを連発したりと大忙しのX君、最近はどんな取材をしてるの?

ライターX
それが全くできてないんです。「記事は足で書く」がモットーの私としては、どうも「web取材」に慣れなくて。

吉松
あらら。見たところ、少し太った気がするけど、最近急増中の「コロナ太り」では?

ライターX
週末は外出自粛で家にいるため、食事はもっぱらウーバーイーツ頼み。配達料と手数料がかかるから、ケチって昼夜2食分を一度に頼むようにしているんですが、ついついあるだけ食べてしまって。夜は夜で頼むから、単純に食事の量が増えてしまったというわけです。

吉松
ところで、親しい経営者から言われたけど、今のような有事の際、会社がどういう対応をしているかを社員は見ていると。つまり「今回の対応」が、今後の会社選びの基準になるでのはないかと言われました。

ライターX
非常時ほど、トップの力量とスピードが問われますからね。どんな経営判断をするかに、リーダーの覚悟と深層心理が現れるのかもしれません。

吉松
四国の賃貸管理会社N社は、仲介のスタッフも含めてリモートワークを進めているらしいです。「web接客」「オンライン内見」を駆使すれば可能だと。「日頃から準備をしていたからそれが生きた」というコメントが印象に残っています。

ライターX
「できない」から入るのではなく、「どうしたらできるか」で発想する違いですね。東証一部の戸建て分譲O社も、3月期末の1カ月で100億円を売り切ったらしいですよ。ま、やり方はかなり強引だったようですが。

吉松
緊急事態宣言発令後は、不動産仲介は難しくなりそうです。大手不動産会社S社のトップが言われていたのですが、「今の時期、売れないのなら思い切って休むくらいのメリハリが大事。社内で一時的にでも“10ケ条の前向き宣言”みたいなのを作って、みんなの気持ちを盛り上げ休んでしまう。そして、緊急事態宣言が解除になったら、スパッと仕事に切り替わる。そんな判断があってもいい」と。感動しました。だらだらやってもいざ宣言解除になった時、「何が違うの?」となりかねませんから。

閑散としている住宅展示場

ライターX
HISもほぼ全社員に当たる6000人が、4月8日から5月6日までの自宅待機で、休業中の給料は支払われるそうです。一方、都内のタクシー会社、ロイヤルリムジンは、約600人の乗務員を解雇。「休業手当を支払うよりも失業保険を受ける方が従業員にとっても良いだろう」という判断らしいです。

吉松
賃貸の現場でも、リフォーム大手のB社が5月6日まで休みにしたみたい。給料は6割保証。進行中の現場も止めてしまうそうで、現場は混乱していました。結局、社員はお施主さんや現場作業員からのクレーム対応に追われるんじゃないかな。

ライターX
6割保証ならまだいいです。基本は有給消化で、有給が無くなったら欠勤扱いというところも多いですよ。アパートメーカーのL社は、テレワークができる社員は推奨、できない社員は1日おきの出社で、出社しない日は欠勤扱いという話です。ちなみにL社の3月末の入居率は83%で、連結最終損益は300億円以上の赤字だとか。

問われるトップの経営判断

吉松
同じく大手メーカーのD社は、4月8日から5月6日まで全社員自宅待機と聞いています。

壁に貼られた営業自粛のお知らせ

ライターX
売上至上主義の会社にしては、意外な対応ですね。

吉松
D社社員の話によると、裏の狙いがあるという噂。一つは、従来からの飛び込み営業が限界に達しアパートが売れていないため、株主に対して“コロナの影響”という理由を強く打ち出したい。もう一つは、解約防止策。営業所を閉鎖すれば、無理に受注したアパート建設について、お客さんが解約を申し出ても受け付けられません。現場では“解約引き延ばし作戦”と呼んでいるみたい。

ライターX
あまりにも一時的な株価対策ですね。品性が問われます。品性と言えば、賃貸仲介のA社が「消毒抗菌施工料」としてスプレーの販売をしれっと再開しました。一部屋3万2400円だそうです。

吉松
どさくさ紛れの火事場泥棒か…。「消毒」とか「除菌」は今や入居対策の売り文句になっていますからね。こういう時に、良くも悪くもひと財産を築く人は多いのかも。

ライターX
疫学や公衆衛生の専門家は、まさしく今引っ張りだこ。考えてみれば、経済とか経営学に公衆衛生上の問題を加えた議論はこれまで少なかったような気がしますから、それはそれでいいことだと思います。

吉松
テレワークが進んだ今、「できない」と思っていたことができるようになりました。満員電車から解放された喜びもあり、たかだか1〜2カ月前のことなのに「もうあの頃の働き方には戻れない」という雰囲気があります。

ライターX
そうはいっても、多くの会社は通常モードですよ。住宅展示場は誰も来ないのに営業していて、一日中、誰もいない通りに向かって呼び込みしています。

吉松
そんな中にあって、戸建て住宅のK工務店は、他社に先駆けていち早く臨時閉店を宣言。その英断に、同業他社からも称賛の声が上がっているそう。「お客さんが来ないなら、売上をあげるより、社員にいい会社と思われた方がいい」という判断でしょう。この宣言に対し、「K工務店への転職希望者が増えるのでは?」という話です。まさに損して得とれ、ですね。

ライターX
コロナで本当に多くの人が亡くなっている今、社長にとって一番大切な仕事は、もしかすると「社員の命を守る」ということなのかもしれませんね。利益を追うとか、急には仕事のやり方を変えられないとか、気持ちはわかりますが、社員の健康や安全あっての職場ですから。

吉松
X君も、適度な運動で体重をコントロールしたほうがいいね。

Hello News編集部 吉松こころ
対談日:2020年4月8日

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