諸説紛紛

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アウトドアブームを先取りせよ

「スズキのジムニーがめちゃくちゃ売れているらしい」

「20年前バイク乗りだった人たちが、定年を迎えてまたバイクの世界に戻ってきているらしい」

「リターンライダーは、余裕があるから大型バイクも売れているらしい」

「キャンピングカー買いたきゃ、1年待ちらしい」

車やバイクに興味があるわけではないのに、そんな話で大盛り上がりしたのは、4月初旬だった。お相手は、ヒーローライフカンパニーの日﨑哲仁社長と執行役員の仲田幸嗣さん。同社が今年3月から稼働させているコンテナ型の動くホテル、Trail innにどういったお客さんを呼び込もうかと話している時だった。Trail innは広大な敷地にコンテナが置かれるタイプで、部屋とバイクの距離が近く、バイク乗りには喜ばれる作りになっている。

自炊ができ、長期滞在者が多く利用している。

そんな話を聞いたからか、最近ジムニーがよく目につく。5月4日など、車で中央道を走ったときは、半日で14台とすれ違った。見たところほとんどが新車のようだった。コロナ禍でアウトドアや車やバイクに乗っての遠出を楽しむ人が増え、とりわけジムニーは、アウトドア初心者の人にとって、価格・サイズともにちょうどいいらしい。

スズキジムニーのサイトより

リターンライダーが増えたことで、バイクコンテナの稼働も好調だとか。一方で、キャンピングカー投資をする個人投資家もいた。800万円で購入した中古のキャンピングカーを自分が使わない時は第3者に貸し出していて、多い月では30万円以上稼ぐと話した。こうしたトレンドにいち早く乗る人たちはたいしたものだと思う。

ニーズ急増のレンタルスペース事業も楽じゃない

3年前にスタートしたレンタルスペース事業がようやく、ようやく、軌道に乗ってきた。築40年はゆうに超える建物の一室だが、80平米のリビングと20平米のバルコニーが売り。初期投資には、大型ソファや80インチのスクリーン、大家族用ホットプレートなどを購入し、100万円以上を投じた。

コロナ禍に入ってからは、撮影用にスペースを利用するニーズが増えたことを受け、ミラーリングを追加購入した。さらに、オンライン会議需要の高まりに合わせ、最新型のスピーカーやマイクなども泣く泣く買い揃えた。

その甲斐あってか、これまで、テレワーク、重役会議、ママ会、家族会、ボードゲーム会場、コスプレ撮影会、料理教室、スポーツ観戦、とさまざまな層が借りてくれた。

時間当たりの賃料は3000円〜。土日は4000円〜だが、4時間から5時間程度の利用が多く平均単価は、1万円台後半。卒業式や歓送迎会が多い3月は、長時間のパーティー利用が多く、売り上げは35万円を超えた。

と言ってもそこから大家さんに支払う家賃や清掃代、備品、水道光熱費が出ていくわけで手残りは、10万円前後。それでもこの数ヶ月は数万円程度とはいえ単月黒字が続いている。有難いことだ。

ただ最近厄介なのは、ゴミのトラブルが頻発していること。基本的に出たゴミは持ち帰ってもらうルールになっているが、放置していく利用者も少なからずいる。特に多いのが重たくて荷物になると思われる瓶類。ワインや焼酎、日本酒などの空き瓶だ。

飲食店がアルコール類を出すことを規制されているため、時間や人の目を気にせず、お酒が飲めて盛り上がれるレンタルスペースは、コロナ禍の勝ち組稼業なのかも知れない。

しかし、こうしたゴミ問題に遭遇するたびに萎える。共有のゴミ捨て場に分別もせず置いていく人もいて、大家さんにもお叱りを受けさらに萎える。

対策として、室内にゴミ捨て場を設置した。

こうした経験から、瓶類の処分がいかに大変か、飲食店の人たちの苦労の一端を少しだが知ることができた。

「大工・職人」をカッコいい職業に!

ランドセルに使われる人工皮革「クラリーノ」を製造・販売するクラレが、2020年7月に発表した小学6年生の「将来就きたい職業」の結果が話題になっている。1位は定評の「スポーツ選手」だが、人気職業の「エンジニア」「ゲームクリエイター」を抑え、なんと3位に、「大工・職人」がランクインしたのだ。過去最高の順位だという。

クラレ発表の資料を基に作成

リフォームや原状回復工事の分野で20年以上働く女性プランナーの牧野祥枝さんは、「わかる気がする」と話す。今年から大学に進んだ息子を見ていていても、「大工や職人のことを、手に職を持ったかっこいい大人たち、という目で見ている。私たちが子供の時と持っている印象が変わっていると思う」と語る。

実際、テレビに出る芸能人やユーチューバーなどの影響で、DIYや日曜大工が身近になり、子供に、ものづくりは面白い、楽しいと伝えるきっかけになっていると分析する声もある。

年間7万件の原状回復工事を行い、1000人以上の職人集団を束ねる齋藤浩光さんは、この数年、職人の地位をいかに高めていくかに頭を悩ませてきた。共に働く職人の多くが60歳を超えつつあり、どう次世代を育てていくかは喫緊の課題。

「このままでは、たとえば賃貸住宅で空室が出ても、原状回復工事が入るまで2ヶ月、3ヶ月待っていただくということが起こりうる」と危機感を募らせていた。

こうした考えから2018年、一般財団法人KILTAを立ち上げ、「暮らしをつくる人になる。」をテーマに、DIYの実践講座やイベント、ワークショップなどを各地で開催し、自分の手や体を使って学べる場を作ってきた。目指すのは、「一億総職人化計画」だ。

齋藤さんは、「自分のためにものづくりを楽しむ人」や「誰かのためにつくる力を活かしたい人」を育てることが、日常の中で起こる様々な困りごとの解決につながる、と考えている。

これだけ家にいる時間が増えた今、室内をより快適にしたいと考える人は多く、それを自分の手で叶えるというのは、自分で食べるものを作るのと同じくらい当たり前のことなのかも知れない。

今年の7月には、今年春に小学校を卒業した6年生の「就きたい職業」ランキングが発表される予定だ。「大工・職員」の順位がどうなるのか、注目したい。

Hello News編集部 吉松こころ

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