観光庁「観光白書」から見る、今の日本の観光事情とは

2012年から7年連続で過去最高を記録していた訪日観光客数だが、ついに2020年、新型コロナの影響によって記録更新が途絶えた。

観光庁によると、2020年の訪日観光客数は前年比87.1%減の412万人。訪日外国人旅行客による旅行消費額も前年比84.5%の7446億円となった。

日本政府観光局HPより

この動きは世界共通で、国連世界観光機関は2020年の国際観光客は前年比73.1%減の3億9400万人と発表した。また、世界旅行ツーリズム協議会によると、2020年の旅行・観光業が世界のGDPに占めるシェアが約5.5%と前年から半減し、前年から6200万人近くの観光関連産業従事者の雇用が消滅したという。

コロナ禍の渡航制限等によって、新型コロナが日本のみならず世界の観光産業に対してもあまりにも大きな打撃を与えたことが、この数字から見て取れる。

日本では、観光産業の縮小に対し、2020年7月から1兆7000億円もの予算を使った「Go To トラベル」キャンペーンを開始した。

当時の首相である菅義偉総理は、会見の中で「Go Toキャンペーンなどを通じて観光、飲食、イベント、商店街など、ダメージを受けた方々の支援をしていく」とコメントし、国としてまずは国内における観光産業への対策を講じたが、コロナ感染者数の増加により同年12月28日から一時停止した。

とはいえ利用人泊数は少なくとも約8781万人泊、一人泊あたり約1万3282円の消費につながった。また、国内旅行社の約67%が「Go To トラベル」を利用したと回答。政府は引き続き国内観光事業再建への切り札として、「Go To トラベル」の再開を念頭に政策を進めている。

一方で、観光収入が落ち込む地方においては、コロナ禍を踏まえた新しい観光コンテンツの創出が重要ととらえ、観光庁ではこうした事業に取り組む地域を支援する。

例えば、東京都・八丈島では、サイクリングやヨガ愛好者向けに首都圏からプロの講師を招聘したり、新潟県・南魚沼では、密になりにくい早朝の時間帯を活かしたツアーを実施している。

八丈島観光協会HPより

観光庁は依然として「2030年までに訪日外国人数6000万人」という目標を固辞している。コロナ禍で悪化した観光事業の改善として、まずは国内の観光客を増やすことと、顧客ニーズを捉えた事業の推進を中心に進められるだろう。その後、海外旅行客を呼び戻すため、何かしらの施策が行われることは間違いない。

アフターコロナに向けて、私たち日本国民がコロナ禍の経験やそこから学んだノウハウをどう活かせるかが、今後の日本の観光産業において最も重要なことになるかもしれない。

HelloNews 編集部 鈴木規文

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