公益財団法人日本生産性本部の余暇創研は、10月4日、2020年の余暇活動について個別の意識や参加実態に関するアンケート調査および各業界の市場分析から検証して取りまとめた『レジャー白書2021』を発行した。
緊急事態宣言下による外出自粛や政府の非対面推奨など、コロナ禍の影響を大きく受けた今回の調査において、余暇総研は主なポイントを以下のようにまとめた。
余暇関連の市場規模
2012年以降、わずかに増加傾向だった余暇市場は、前年比23.7%減の55兆2040億円となった。中でも「観光・行楽」部門では43.7%減と、4部門のうち最も下落幅が大きかった。コロナ禍で移動制限が行われたことが考えられる。また、移動手段にも変化があり、飛行機や電車は軒並み現象したが、密を避けられることから二輪自転車関連には増加が見られた。
引用元:公益財団法人日本生産性本部「『レジャー白書2021』プレスリリース」より
また、娯楽部門は、飲食関連への消費が落ち込んだことから前年比21.8%減となった。一方で巣ごもり消費によるテレビゲームやスマホゲームの消費は増加している。
巣ごもり消費は他にも趣味・創作部門にも影響を与えており、自宅で楽しめる動画や音楽等の配信サービスは大きく伸びている。しかし音楽コンサートや演劇、映画など、外に出ないと参加できないものが激減し、トータルで前年比9.5%減となった。
スポーツ部門も同様で、プロ野球などスポーツ観戦における市場規模が落ち込み、前年比15.9%となっている。
余暇活動の参加人口
2010年から9年連続1位だった国内観光旅行が4位に後退するなど、2020年の余暇活動の参加人数には大きな変化が見られた。
2021年のランキング1位は動画鑑賞で前年から7ランクUPした。利用者は3510万人から3900万人に増えている。次いで読書、音楽鑑賞と続き、コロナ禍によるおうち時間の影響が大きい。
引用元:公益財団法人日本生産性本部「『レジャー白書2021』プレスリリース」より
他にもコロナ禍の影響を受けているものとしては、7位のウォーキングや9位のSNS、ツイッターなどのデジタルコミュニケーション、11位の園芸・庭いじり、12位の体操などがある。どれも在宅や近場で行える活動の順位が上昇している。
一方、国内観光旅行以外にもコロナ禍の影響は大きく、外食や映画(テレビは除く)、複合ショッピングモール・アウトレットモールへの参加はいずれも順位を落とした。
自由度が増した余暇の過ごし方
コロナ禍によって、多くの人は自宅で過ごす時間が増えていることだろう。「仕事帰りにちょっと一杯」といった、これまで当たり前のように外で過ごしていた時間がなくなり、どのように時間を使えばいいかわからない人も多いと聞く。かくいう私もその一人で、調査結果同様、動画配信サービスに加入し、読書時間が増えた一方、居酒屋やショッピングモールに買い物に行く機会がめっきり減っている。
コロナをきっかけに、テレワークといった働き方も多様化してきたことで、人々のライフスタイルそのものが変わろうとしているのかもしれない。
来年は、揺り戻しが起きてコロナ前の余暇時間の過ごし方に戻るのか、それとも2年弱で慣れてしまった今の生活のままでいくのか、はたまた全く新しいスタイルが確立されるのか。いずれにせよ、人々の余暇の過ごし方の変化が、今後の日本経済に与える影響が大きいことには間違いない。
HelloNews編集部 鈴木 規文
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