築古物件を甦らせるホームステージングの効果
賃貸経営において、築年数の経った物件は、新築に比べてどうしても不利とされがちです。入居希望者は新しさや設備の充実度を重視し、古さを理由に敬遠することも少なくありません。その結果、オーナーは賃料を下げざるを得ないと考えがちです。
しかし、公益社団法人日本ホームステージング協会が発表した「ホームステージング白書2024」は、そうした固定観念を覆すデータを示しています。
家具や小物で空間を演出するホームステージングを導入した賃貸物件のうち、60.6%が賃料アップに成功し、その中の10.6%は5%以上の上昇を実現したのです。
通常、長期空室は、賃料を下げて募集するのが一般的ですが、「ほぼ変わらない」と回答したオーナーも31.7%いました。
築古物件でも「暮らしが想像できる空間」に仕立て直せば、値下げすることなく、むしろ賃料を上げられる可能性があることを物語っています。
成約スピードと収益性の両立
今回の調査では、首都圏、とりわけ東京でのホームステージング導入が前年より7.1ポイントも増加していました。競争の激しいエリアほど、ステージングが効果的な武器になっていることがうかがえます。
さらに、導入を1年以上続けている企業、オーナーは63.2%に達し、さらに22.2%は5年以上も継続していました。これは、単なるブームではなく、不動産マーケティングの一環として確実に根づき始めている証拠といえるでしょう。
また、築古物件にステージングを施すと、成約スピードにも大きな変化が表れます。
白書によれば、売買物件の約70%がステージング後2か月以内に成約し、賃貸では約82%が同じ期間内に入居が決定しています。築年数がネックとなり「長期空室」が続いていた物件が、わずかな工夫で短期間の成約に結びついているのです。家賃を下げて空室を埋めるのではなく、ステージングによって「選ばれる理由」を作り出し、収益性とスピードの両立を可能にしている点は注目すべき成果といえます。
ホームステージング戦略とは
築古物件を持つオーナーにとって、賃料を下げることなく入居者を確保できるかどうかは大きな課題です。
ホームステージングは、その課題に対する実践的な解決策といえるでしょう。賃貸物件の内見に訪れた人が「ここで暮らす自分」をイメージできれば、多少の古さがあっても心は動きます。畳や柱の年季はマイナス要素ではなく、温かみや個性として演出することも可能です。
実際、白書に見られる成果は、「古い物件は必ずしも不利ではない」というメッセージをオーナーに投げかけています。むしろ、演出を施すことで、築古物件が周辺の競合物件より魅力的に映り、結果として同じ家賃、あるいはより高い家賃で貸し出せるのです。
賃料を下げて入居者を探すのではなく、空間に暮らしの物語を与えることで、成約スピードを速め、収益性を高めることができます。オーナーにとって、これは単なるコストではなく「投資」であり、空室リスクを軽減し、安定した経営を実現するための戦略的な手段です。
これからの賃貸経営において、築古物件をどのように魅力的に見せるかがますます重要になります。その答えのひとつが、ホームステージングなのです。

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