職人シリーズ③ザンさん(ベトナム人)「日本のわびさび文化も覚えた。ここでの経験をベトナムに持ち帰りたい」

建設業界は今、建築費高騰と人材不足で倒産が過去最多という状況に陥っている。未完工事は15兆円超。そんな逆風の中でも、職人を志す若者が現場で活躍している。
ハローニュースでは、未来を担う若き職人たちの声を届けるため、現場で活躍する若い職人たちにスポットを当て、紹介していく。

過去回

ベトナム人のザンさんは、現在32歳のリフォーム職人だ。来日して6年が経った。26歳の時に日本にやってきて以来、一貫して内装工事の仕事に取り組み、原状回復の現場で腕を磨き続けている。

日本に来て最初に始めたのが、リフォームの仕事だった。以前はベトナムで工事現場のクレーン運転をしていたが、来日後はまったく新しい分野に挑戦しようと思った。初めての仕事に不安もあったが、先輩に一から教わりながら技術を習得し、今では「どんな仕事でも任せてもらえる」と胸を張る。後輩に指導する立場にもなり、着実に現場での存在感を高めている。

「仕事は楽しい。内装工事が好きなんです。それと最初は夏が暑くて大変でしたが、日本の気候にも慣れました」と笑顔で語る。

現在は技能実習1級を取得済みだ。次の2級を目指すと同時に、日本で働き続けるために必要な特定技能資格の勉強にも励んでいる。大きな壁は筆記試験での漢字(70問)だ。仕事を終えた後も自宅で日本語の勉強に励み、合格を目指している。

また、実施試験では和紙の貼り方のテストもあるという。日本人でも和紙を貼る機会なんて滅多にないのに、これをベトナム人が覚えなければならないのはなんとも酷な話だ。

将来は、日本で知り合った同じ実習生のベトナム人の彼女と結婚し、日本で暮らすこと。そして最終的には、日本で培った技術を生かし、母国でオーダーキッチンの会社を立ち上げたいと夢を語る。ベトナムでは家ごとにキッチンのサイズが異なるため、「一人ひとりに合ったキッチンを作ってあげたい」と目を輝かせる。

生活面では「日本はなんでも揃っていて便利」と感じる一方、夏の暑さや冬の寒さには苦労してきた。それでも仲間たちと会社の社宅で暮らし、食事を共にする時間が大きな支えになっている。

また、日本の住宅文化にも驚きがあった。ベトナムでは壁は塗装や塗り壁が一般的だが、日本ではクロスを貼るのが当たり前。「最初は不思議に思いましたが、今では日本人の仕上がりへのこだわりや“わびさび”の感覚が理解できるようになりました」と話す。

「日本人は内装やリフォームの仕事をする職人が少なくなってきていると聞きます。でも自分は仕事が好きだから続けたいです」と力強く語るザンさん。毎月家族への仕送りを欠かさず、年に二度はベトナムに帰省し、家族との絆も大切にしている。

日本で積み重ねた経験と努力が、やがて母国での新しい挑戦へとつながる日を、彼は楽しみにしている。

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