職人シリーズ①城田達也さん「自分の仕事ぶりでブルーカラーへの偏見をなくしたい」

建設業界は、今、苦難の時代を迎えている。

ここ4年で建築費は35%も上昇したが、これを価格に転嫁できたかを測る「価格転嫁率」は39.6%と、全業種で最低を記録。これを一因とする建設会社の倒産は、1890件におよび過去10年で最多となった(2024年度)

中でも「後継者難倒産」は127件で、全産業で1位。「人材不足倒産」も342件で、全産業で1位という残念な結果に。これに追い打ちをかけるのが、建設作業員の高齢化とそれに伴う引退で、今後の1〜2年で一気に減少の山を迎えると言われる。

こうした状況下で、未完了の工事は過去最大級の15兆円を超えたそうだ。この建設業苦難の時代に、業界は若い働き手を確保することができるのか。

実のところ、若い職人が元気に活躍する現場は増えている。
消去法ではなく、自ら職人を目指し、業界に入る若者がいるのだ。
そうした人材の一人、28歳の職人、城田達也さんは生き生きとした様子で語った。

「建物が完成していく過程や、入居者が決まってそこでの生活がスタートすることを想像することが楽しいです!」。
彼らはなぜ、建築の世界を目指したのか。
ハローニュースでは、今後隔週で、現場で活躍する若い職人たちにスポットを当て、紹介していく。

職人歴7年の城田達也さんは、1996年12月生まれの28歳だ。
リフォーム会社で修行し、4年前に独立した。
彼は、初めから、建設業を目指していたわけではない。
高校時代は、ICUや慶應などの難関大学を目指して猛勉強をしていた。
しかし、志望校の切符を手に入れることはできず、2浪目を向かえた時、図書館で一冊の本と出会う。

『300万円で大家になって地方でブラブラ暮らす法』(加藤ひろゆき、ダイヤモンド社)

「不動産、面白い!」。衝撃が走った。
そこからおよそ100冊、大家業に関する本を読み漁った。
「大家業という仕事なら、自分にもできるかもしれない」。何十冊と本を読むうちに、共通項も見えてきた。安心できる住まいを提供すること、それが基本だと思った。
「家賃という定期的な収入があれば、経済的にも時間的にも自由になれる可能性が高まる!これを仕事にしていこう」

そこからの決断は早かった。彼は進学を辞め、不動産収入で自立する道に進むことを決めた。
年齢は20歳。ハローワークが紹介した職業訓練校に通い、その後はハローワークの紹介でリフォーム会社に就職する。
「3年くらいしたら独立したいと思っています」。
入社時、自分の考えを率直に伝えたが、そのリフォーム会社は快く迎えてくれた。

最初の3ヶ月は、とにかく体がきつかった。それまで机に座って勉強する日々だっただけに、そもそも体力がない。屋外での肉体労働は、想像以上にこたえた。
しかし3ヶ月を超えてくると、徐々に体が慣れてきて、次に何をすべきかがわかってくるようになった。そうすると仕事もゲームをこなすように楽しくなっていった。
上司や先輩に恵まれたことも大きい。
従業員5人の小さな会社で、社長と行動を共にすることも多かった。現場仕事については、社長も先輩たちも丁寧に教えてくれた。自分でも暇さえあれば、YouTubeを見て、新しい工具の研究や使い方の知識を増やした。

22歳の時、親から700万円を借り、ついに念願の不動産を購入する。
650万円で、築50〜60年を経た2階建て2室の賃貸住宅だった。
1階に自分が住み、2階を6万5000円で貸す形で、晴れて大家になったのだ。
建物の性能や構造の知識が身につき始めていたので、購入に際しての不安はなかった。それより、夢が叶うこと、自分の腕で修繕できることが面白かった。
不動産取得から2年が経った頃、独り立ちを決めた。
「独立は会社にも自分にも宣言をしていたから、後にも戻れない。前に進むだけだ!」と思ったそうだ。
その時、24歳。周りの友人たちは、大学を出て就職したばかり。まだまだ新入社員として駆けずり回っている頃だ。

最近、結婚をした。
休みの日は、奥さんとゲームをしたり、友達と飲みに行ったりして過ごす。
「子供は5人欲しいね」と、二人で話している。
子供達が不自由なく立派に育つには、自分自身が成長し続けること、建築・不動産の仕事で足元を固め経済的な自立をすることが何より大事と思っている。

「建築の仕事をしていて、3K を感じることは、もちろんあります。特に屋根作業や床下作業、天井裏作業をするときは、多少気合いが入りますが、仕事だと思えば気になりません。それよりも、自分たちがいい仕事をして、その仕事ぶりから、ブルーカラーへの偏見をなくしたい、という気持ちが強いです」(城田さん)

「きつい」「汚い」「危険」と言われた3Kは、今、「カッコいい」「稼げる」「結構もてる」に変わってきている。

吉松 こころ

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