大手賃貸ポータルサイトが発表している「住みやすい街ランキング」で高評価を得ている街は、本当に住みやすい街なのか。子育て世帯でも安心して暮らせる街なのか。実際にその街に赴き、子供(7歳と8歳)と探索し、「住みやすさ」の答え合わせを行う企画の第11弾です。
今回は、東京都中央区に位置し、金融街として有名な街、茅場町駅を調査しました。

初めて中央区の駅を調査するということで、まずは行政による中央区の子育て支援を調べてみました。「児童手当」や「子ども医療費助成」などほかの区でも実施しているもののほかに、中央区ならではの支援は次のとおりです。
「出産・子育て応援給付金」
妊娠をしたときに出産応援ギフトを、出産したときに子育て応援ギフトをそれぞれ支給しています。
出産応援ギフト:妊婦1人につき5万円分
子育て応援ギフト:出生したお子様1人につき10万円分
「新生児誕生祝品(区内共通買物券)の支給」
赤ちゃんが生まれた家庭に対して、祝品として区内で利用できる3万円分の「買物券」を支給しています。
「私立幼稚園就園奨励費補助金等」
私立の幼稚園に通っている家庭に対して、入園料と保育料の一部を補助しています。
「中央区外国人学校生徒等の外国人保護者に対する補助制度」
子どもを朝鮮人学校、韓国人学校、中国人学校に通わせている、外国人保護者に対して、1人あたり月額8000円を支給しています。
ほかの区に比べて、補助金の上限や種類が多くはありますが、皆さんがイメージされているとおり、住居費が高いため、補助金を目当てに引っ越しするには注意が必要です。
茅場町は中央区の中心地ではありませんが、東京証券取引所があり、日本の金融地として栄えている場所です。オフィス街という印象ではありますが、実際に住んでみたらどうなのか、子育て世帯が過ごしやすい街なのかを子供と歩きながら調べていきましょう。

茅場町駅は東京メトロ東西線と日比谷線を利用でき、東京駅まで約11分です。また、東西線の隣駅である日本橋には銀座線や浅草線が乗り入れていたり、都営バスも複数便が通っているため、交通の便は非常に良いです。また、お台場方面や、八丁堀を経由して、東京ディズニーランドがある舞浜駅まで約20分というのも、子育て世帯にとっては嬉しいポイントでしょう。
まずは住宅の価格相場を見ていきましょう。
LIFULL HOME’S調べによると、中古マンション(専有面積:70m²の場合)の相場は8783万円です。東にひと駅離れた門前仲町駅と比べると1000万円ほど高く、築10年に絞ると、17件しかヒットしませんでした。そのうち、ファミリー向けの70㎡でみると、すべてが1億円超えです。

賃貸住宅の相場は、1LDKで20万4100円、2LDKで26万8700円、3LDKで36万8600円です。意外なことに、賃貸住宅の配給数は多く、駅徒歩10分以内でも448件ありました(1LDK以上でも231件)。
築年数で絞っても、およそ50%が築15年以内の物件で、近年の再開発により住宅の数も増えていることが分かります。
茅場町に住みたいと思っている人は、住宅の価格が落ち着くまで賃貸に住みながら待つ、という手段もあるかもしれません。
ホームはとても広く、ホームドアも設置済み(2024年度)です。また、通路が広いためか、地下鉄ホームにありがちな、電車到着時の強風もほとんどなく、危険性は感じませんでした。


エレベーターもポイントごとに設置されており、ベビーカーでも安心です。
とはいえ1日の乗降者数が1万人を超えるなど、平日は特に人が多いため、人との衝突事故や迷子などには気を配る必要がありそうです。

出入り口は永代通り沿いに13カ所あります。2車線のため、交通量は多いですが、車道も歩道もきちんと整備され、街灯も多く設置されているので、特に危険な感じはしません。

ただし、歩道には自転車レーンがないので、子供から手を離して散歩する時は注意したほうがよいでしょう。

ちなみに、一つ気になったのが、古くからオフィス街だったためか、歩道と店舗の境目に段差がある場所が多いことです。私自身も苦労した経験がありますが、段差があるとそのお店にベビーカーで入るのがとても大変です。

特に薬局やスーパーなど訪れる頻度が高いお店だと辛く感じてしまうかもしれません。今後の改善に期待です。
大型スーパーはありませんが、マイバスケットや肉のハナマサ、成城石井などは駅から徒歩5分圏内に数件あります。一方、ビジネス街のため、コンビニの数はとても多いです。
薬局もスギ薬局やトモズなどがあり、日用品の買い出しに困ることはないでしょう。
公園はたくさんあります。なかでも坂本町公園は、オフィス街の真ん中にあるとは思えないほど、芝生が広がっています。ピクニックには最適です。


実際、私たちが訪れた日曜日の午後も、多くの家族連れがのんびり過ごしていました。
もし大型エンタメ施設で遊びたい場合は、電車やバスに乗って東京やお台場、豊洲などに行くことをおすすめします。
今回は茅場町駅をご紹介しました。主な特徴を挙げると、次の3点です。
①住居費と交通の便のどちらを取るかを考える必要がある
②町全体は綺麗だが、子育て世帯に特段配慮された街ではない
③子供の遊び場は少ないため、外出する機会は多くなる
引越し先に迷われている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
次回も、ランキング上位の街を探索していきたいと思います。どんなところが他の駅と違うのか、実際に調査していきます。
Hello News編集部 鈴木 規文
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