大手賃貸ポータルサイトが発表している「住みやすい街ランキング」で高評価を得ている街は、本当に住みやすい街なのか。子育て世帯でも安心して暮らせる街なのか。実際にその街に赴き、子供(6歳と8歳)と探索し、「住みやすさ」の答え合わせを行う企画の第9弾です。
今回は、東京都江戸川区に位置する、東京メトロ東西線の西葛西駅を調査しました。
西葛西というと、「インド人が多く住んでいる」というイメージを持たれている人も多いと思います。実際、街を歩いていても3人に1人はインド系で、いたるところにインド料理屋があります。
東京都の統計「外国人人口令和4年(1月1日)」によると、江戸川区は23区内において外国人居住者の数が35220人で最多で、そのうちインド人は5201人となっています。それでは外国人住民も多く、インターナショナルスクールや多様な文化行事が行われるなど、国際色豊かな地域の西葛西駅を、実際に子供と歩きながら調べていきましょう。

東京メトロ東西線の西葛西駅は、大手町まで約20分と都心へのアクセスがよく、また、西船橋へも約20分と、都内や千葉方面への通勤・通学に便利なエリアです。
また、西葛西にはリトルインディアといったインド人コミュニティが形成されています。インターナショナルスクールがあり多様な文化行事が行われるなど、国際色豊かな地域で、さまざまな文化に触れさせたい家庭にとっては住みやすい街でしょう。一方、多文化共生や国際色豊かな雰囲気に慣れていない場合、生活スタイルや文化の違いに戸惑う可能性もあるかもしれません。検討の際は実際に街を訪れて雰囲気を感じ取ってみることをお勧めします。
住宅の価格相場を見ていきましょう。
LIFULL HOME’S調べによると、中古マンション(専有面積:70m²の場合)の相場は4132万円です。南砂町駅が4892万円、葛西駅が4323万円なので、割安感はあるかもしれません。また、ファミリー向け(50㎡~90㎡)の供給数は多く、100件ほど検索にあがってきました。

賃貸住宅の相場は、1LDKで13万800円、2LDKで20万1700円、3LDKで21万8600円です。中古マンション同様、こちらも検索数は750件を超えており、近隣の他エリアに比べて供給は多いと言えます。築10年以内に絞っても約270件あるので、特に強いこだわりがなければ物件探しに困ることはないでしょう。
とはいえ今後、南砂町や東陽町など東西線沿線の再開発により、相乗的に周辺エリアの不動産価値が変動することも考えられます。西葛西エリアの価値も上がってくる可能性もあるため、不動産購入を考えている方は、こういった動向も視野に入れて検討するとよいでしょう。
また、このエリアに住むうえで、特に気を付けておかなければならないことがあります。それは荒川と江戸川に挟まれた場所にあるということです。そのため、荒川や江戸川が氾濫した場合、広範囲で浸水の可能性があり、浸水深が最大で5メートル以上に達する地域も含まれています。


2018年には、江東5区(江戸川区、墨田区、江東区、足立区、葛飾区)が共同でハザードマップを作成しました。そこには水害が発生したら、「あなたの住まいや区内に居続けることはできません」という警告文も掲載されており、大きな話題になりました。水害リスクは決して軽視できないもので、危険な地域だということは認識しておきましょう。
地下鉄ながら高架駅の西葛西駅は、都内屈指の混雑率を誇るため、ホーム上の通路の幅が広く設計されており、子供連れで歩くには十分なスペースがあります。また、ホームドアや雨風をしのげる待合スペースも設置されており、小さな子供と電車に乗降する際も特に不満や不安は感じませんでした。


駅構内は広くはありませんが、エレベーターは2基あり、ベビーカーでも安心して移動することができます。とはいえ通勤・通学時は、都内でも1、2を争う混雑率を誇る東西線となっているため、その時間の外出は避けた方が賢明かもしれません。ちなみに改札内にパン屋さんがあるのは嬉しいポイントです。

駅出口は北口と南口の2箇所です。北口は飲食店やスーパーなど商業施設が多く活気があり、人通りが多いです。南口は住宅街になっており、公園が多く、静かで落ち着いています。ファミリー層が多く住むのは南口エリアです。駅から少し離れると、緑豊かな公園や閑静な住宅街が広がり、子育て世帯にも適した環境が整っています。

西葛西は多様な国籍の住民が暮らす街です。江戸川区では地域の安全確保に積極的で、パトロール強化などの取り組みを積極的に行っています。また、駅前には交番もあり、地域と警察の連携も進んでいるようで、多くのファミリー世帯が安心して暮らしています。

駅の高架下には「メトロセンター」という商店街があり、日々の買い物や食事に便利な店舗が揃っています。また、駅周辺には24時間営業のスーパー「ワイズマート」やドラッグストア「ウエルシア」があり、生活必需品の調達に困りません。


また、冒頭でお話ししたようにインド料理店が多く、本格的なカレーやスパイス料理を楽しむことができます。


一方で、大型のショッピングモールやエンターテインメント施設は少ないため、充実した買い物や娯楽を求める場合は、近隣エリアへの移動が必要となることもあります。
駅から10分ほど歩くと、「行船公園・江戸川区自然動物園」があります。無料で入れる動物園や釣り、噴水を楽しむことができる公園になっています。近くにはスポーツ施設や遊具が充実している「宇喜田公園」があり、夏は池で遊こともできます。
また、駅前には「子供の広場」があります。ここには恐竜の形をした遊具があり子供のテンションが上がること間違いなし。私たちが訪れた時も多くの子供連れで賑わっていました。


小児科は、Google Mapで調べただけでも駅徒歩10分圏内に10件ほどあります。土日も開院している「キャプスクリニック」もあり、保育園児を子に持つご家庭にとって心強い味方です。

また、保育園は6園、幼稚園は4園あります。2020年当時、最も待機児童数が多いのが江戸川区でした。その後、江戸川区は「待機児童ゼロ宣言」を行いましたが、対策が間に合わず同ランキングでは2024年も1位となり、認可保育園にもっとも入りにくいエリアとなっています。逆に考えると、それだけ子供が集まってくるということは、子連れファミリーに魅力的なエリアなのかもしれません。
今回は西葛西駅をご紹介しました。主な特徴を挙げると、次の3点です。
①都心や千葉方面へのアクセスは良いうえに、周辺と比べて住宅の相場が安い
②インド人居住者が多いため、異文化共生に柔軟な考えができる方にオススメ
③待機児童が多く、子供と一緒に引っ越してくるにはある程度の覚悟は必要
引越し先に迷われている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
この連載では、次回も住みたい街としてランキング上位に名を連ねる街を探索する予定です。データだけでは見えてこない街の魅力と課題を、実際に歩いて明らかにしていきます。
Hello News編集部 鈴木 規文
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