大手賃貸ポータルサイトが発表している「住みやすい街ランキング」で高評価を得ている街は、本当に住みやすい街なのか。子育て世帯でも安心して暮らせる街なのか。実際にその街に赴き、子供(6歳と7歳)と探索し、「住みやすさ」の答え合わせを行う企画の第4弾です。
今回は、2020年東京オリンピック・パラリンピック選手村の跡地に作られた晴海フラッグを調査しました。コロナ禍の影響でオリンピック・パラリンピックの開催が1年遅れたこともあり、晴海フラッグへの入居も約1年延期となり、入居予定者から訴えられる問題などのトラブルもありましたが、無事に2024年1月から入居が開始。今では3170世帯、7281人が住むコミュニティとなりました(2024年6月時点)。では実際に晴海フラッグを歩いてみて、子育て世帯にとって住みやすい街なのかを調べていきたいと思います。
晴海エリアは、東京都が1922年から13年かけて行った埋め立て事業によって誕生しました。晴海フラッグは晴海5丁目の住宅街区のことを指し、約13haの土地に、東京都と三井不動産や三菱地所、住友不動産など11社の民間企業によって手がけられた、分譲・賃貸合わせて5632戸の住宅と商業施設から成っています。なお、2025年には約1万2000人が暮らすようになると予測されています。
晴海フラッグへのアクセスは、東京から約3.3キロ、品川から約3.9キロ、豊洲から約2.1キロと、直線距離にしたら近いのですが、電車で行く場合は、都営地下鉄大江戸線の勝ちどき駅から徒歩20分以上かかります。東京駅から有明・東京ビッグサイトを結ぶ臨海地下鉄計画にも晴海駅が予定されていますが、2040年までの実現を目指している段階にすぎません。
それではバスはどうでしょう。バスは東京BRT(バス高速輸送システム)と都バスが走っています。東京BRTは、新橋や虎ノ門ヒルズから直通となっており、晴海フラッグの中心地まで10分程度で到着できます。
都バスは東京駅や銀座、四谷、錦糸町方面までの路線があり、通勤時間帯は7分間隔でバスが出発しています。
とはいえ、バスはベビーカーを乗せるのも一苦労。混雑している場合は、空いているバスが来るまで乗車できなかったりするので、正直、アクセス面では子育て世帯にはオススメできません。また、晴海フラッグ発のバス便の数も足りておらず、通勤・通学時は、余裕を持って行動する必要がありそうです。
マンション価格については、平均倍率71倍、最高倍率266倍に達するほど、周辺相場と比べて割安で、坪単価300万円ほど。近隣エリアだと坪単価600万円に達するマンションも建設されているため、将来的な資産価値も含めて人気が殺到しているようです。
しかし、この価格帯で購入できたのは、抽選に当たった人だけ。今では、転売による価格高騰で、2〜3割ほど価格が上昇しているようです。例えば、販売当時は、70㎡換算6216万円だった部屋が、今では70㎡換算で9000万円代後半まで値上がりしています。
なお、分譲マンションを賃貸に出している人も多くおり、SUUMOで調べてみたところ、「HARUMI FLAG PARK VILLAGE B棟」では364件ヒットしました。1822戸中364戸が今現在、空き家だということを考えると、実際に晴海フラッグを拠点に生活している人は思っているより少ないのかもしれません。なお、賃貸の家賃帯は22万円〜50万円ほどです。
晴海フラッグの移動の中心となるのは、バス乗り場がある「三井ショッピングパークららテラス」前です。東から西に向けて東京BRTと都バスが走っており、晴海埠頭公園か晴海客船ターミナルが最終停留所になります。
私たちが訪れたのは日曜日の昼間ですが、車はほとんど走っておらず、道には歩いている人か自転車の人しかいませんでした。街並みは清潔感があり、道幅も広く、歩行者と自転車でレーンが分かれています。小さなお子様連れでも安心して歩くことができるのは高評価です。また、歩道はしっかりと整備されているので、道に亀裂やでこぼこもないため、ベビーカーも押しやすいでしょう。
ちなみに、レンタサイクルのポートが至る所に設置されているため、自転車や車を持っていないご家族も、晴海フラッグ内の移動に困ることはないでしょう。
入居が始まってまだ1年経っていないこともあり、ショッピングスポットは「三井ショッピングパークららテラス」しかありません。また、コンビニもファミリーマートの1店舗のみです。お世辞にも充実しているとは言えませんが、ららテラスにはスーパーや薬局、病院などの最低限の施設は揃っています。
豊洲などに比べて、遊び場は少ないですが、晴海ふとう公園では大型遊具や水遊び場があり、BBQ施設も入っています。施設内も清潔さが保たれており、家族でピクニックするには最適な公園です。
晴海地域交流センター「はるみらい」は、区が運営する学び場で、学習スタジオや工作スタジオでの勉強スペースをはじめ、野菜を育てたり、ダンスレッスン、音楽教室、体操教室など、子供に習わせたい教室が多く入っています。
2024年4月にオープンした認可保育園が2カ所あります。応募サイトがクローズしていたため、今現在、すぐに入居できるか分かりませんが、他エリアと同じく入園待機にはならないかと思われます。
4月には、晴海西小学校・晴海西中学校も開校しています。通っているのは晴海フラッグの住民が大半で、小学校1年生だけで8クラス(約250人)が学んでおり、全校で約800人が在籍しているようです。早くも第2校舎の計画が進んでいるようです。
小児科は、ららテラスとはるみらいにそれぞれ1カ所あります。どちらも新設された新しい病院で、土日も開院しているため、親としては安心です。また、WEB予約なども完備しているため、無駄な待ち時間も発生せず、スムーズに受診できるのもポイントです。
今回は晴海フラッグをご紹介しました。主な特徴を挙げると、次の3点です。
①購入時期や賃貸時期によって価格(家賃)が変動する
②バス便が増えるまでアクセス面は諦める
③何をするにも最低限の施設は揃っている
引越し先に迷われている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
次回も、気になる街を探索していきたいと思います。どんなところが他のエリアと違うのか、実際に調査していきます。
Hello News編集部 鈴木 規文
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