1人に3人のスタッフ
株式会社SKY(福岡県福岡市)の佐々木一成社長が経営するのは、ALS患者専門の賃貸住宅です。これまでに2棟を建設し、今年もう2棟が完成する予定です。
ALSは、1万人に1人の割合で発症する神経性の難病です。遺伝も地域も関係なく、いつ、どこで、誰が発症するかわからないばかりか、原因も治療法も未だ解明されていません。佐々木社長が作っているのはそうした人々を受け入れる賃貸住宅です。24時間の完全介護、医療体制を完備し、一人の入居者につき、3人のスタッフが配置されています。家賃は、近隣のワンルームと同程度。福岡市内であれば4万円台です。
経済的に依存しなくてすむ
ALSを発症して寝たきりになり働くことができなくなった場合、患者は障害者1級となり、障害者基礎年金が国から交付されます。特別障害手当を含めると年間97万円程度の収入が見込めることとなり、家賃はその中から支払われます。
「経済的に誰かに依存しなくて済む」
それが、全国から入居希望者が集まる理由だと佐々木社長は語ります。
「ALSを発症した方々が未来を見れなくなるのは、一生誰かの世話になりながら生きていかなければならないという現実に向き合った時です」
結果、半数を超える人々が自死を選んでいる現実を知ったことが事業を始めたきっかけでした。
私が初めて佐々木社長に会ったのは2018年でした。その当時のSKYの主な事業は、デイサービスや有料老人ホームの運営でした。現場で介護職員と同じユニフォームを着て働く佐々木社長を見た時、まさかこの人が社長かと目を疑ったほどです。
18歳から介護の道に入り、26歳で独立。創業して今年20年目を迎えます。神経性難病患者という対応が難しい方々を支えていけるのは、介護を知り尽くしているからにほかなりません。
6年間取材を続ける中で、苦労する姿も見てきました。しかし、佐々木社長を見ていると、賃貸経営するということは、誰かの役に立ったり、社会の中に居場所を作ってあげる事なのだと気づくことができます。
Hello News編集部 吉松 こころ
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