日本独自のホテル品質認証を知っていますか?

初めて泊まるホテルを選ぶ時、何を基準に選ぶだろうか。アクセス、価格、ブランド、口コミなど要素はいくつかあるが、ひと目でわかるような基準はこれまで国内には存在しなかった。そこで生まれたのが宿泊施設の品質認証制度「サクラクオリティ」だ。

「サクラクオリティ」は、宿泊施設における接客や設備のインスペクションなどの品質を認証する制度として、2017年にスタートした。これは、ニュージーランド観光業界における品質認定制度「クオールマーク」をベースに、日本独自の基準に沿って作られたものだ。現在は、約200施設が認証マークを取得している。

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9段階で評価

評価は9段階からなり、サクラの数が多いほど品質の高い宿泊施設となっている。認証は、公開された調査項目を元に、第三者である調査員が中立的な立場から評価していく。

調査は、フェーズⅠとⅡにわかれており、Ⅰでは約300のチェック項目を元に1サクラから3サクラまでの認証を行う。3サクラを超えた施設は、約2000のチェック項目から構成されたフェーズⅡに進み、照度や湿度などのハードウェアに関する調査と並行し、サービスレベルの調査も行う。具体的には、スタッフがゲストの前で私語や業務についての話をしていないか、挨拶が徹底されているかなどを覆面調査員がチックしていく。さらに、フロントカウンターから事務書類が見えていないか、客室内のベッドではダニの有無とったところまで細かく見ていく。現在は、176施設が認定されている。

ホテルの品質が一目でわかるサクラクオリティ

品質認証は格付け(ランキング)と混同されがちだが、この2つは大きく異なっている。オータパブリケイションズ主催「サクラクオリティとは何か」のセミナーの中で、サクラクオリティを運営する一般社団法人観光品質認証協会・統括理事の北村剛史さんは「ランキングは問題があっても順位として出せますが、品質認証は問題があれば認証をしません。品質認証は、ゲストからは見えませんが調理場のようなバックヤードまでチェックしています」と説明した。

同じく同セミナーに登壇した一般社団法人雪国観光圏代表理事の井口智裕さんは、サクラクオリティを導入するメリットをこう語った。

「例えば旅館の場合、家族経営の施設が多く、品質管理は女将さんの頭の中にあるので、日によって品質が変わってしまうというのが現状です。しかし、サクラクオリティを導入することで改善方法のベンチマークができるというメリットがあります。次に、ゲストへのメリットは、マークがあることで選びやすくなることです。最後に地域へのメリットは、明確な認証基準ができることで、海外顧客へもアピールがしやすくなります」(井口さん)

サービス内容をゲストに合わせて変えるのは、各旅館の個性とも言える。しかし、品質に関しては、一定のクオリティを保つことによって、ゲストの満足度も高いものになるのではないだろうか。

改善を続けることで品質が上がる

政府は観光立国を目指し、2020年の訪日外国人旅行者4000万人を目標に掲げている。日本政府観光局の統計によると、2012年に836万人だった訪日外国人観光客は2018年には3119万人に達し、わずか5年で3.7倍以上に増えた。ゲストを迎える土壌は、年々整ってきているが、まだまだ改善の余地はあるだろう。現状に甘んじることなく品質を追求し続ければ、「さすが日本」と言われるような観光立国になれる日もそう遠くはないだろう。

Hello News編集部 須藤恵弥子

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