外国人から見た台風19号と対策

国が「10年に一度の災害」と発表し、日本各地に猛威を振るった台風19号。そんな大型台風が10月12日から13日にかけて東日本を襲っている時、言葉がわからない外国人はどのようにその瞬間を過ごしていたのだろうか。日本在住3年の中国人留学生に聞いた。

台風19号が日本列島を襲いました。大型台風を経験し、いま、どんな気持ちですか。また、どんな備えをしましたか。

台風が来る前から情報はふんだんにありました。実は日本のサイトを見るよりたくさんの情報がスマホに送られてきます。日本と中国に住む中国人が個人メディアとなって逐一災害を発信しているのです。

今回も、ウィチャットやウェイボーに、「万一のことがあったらすぐ大使館に連絡をしてください」というメッセージが何度もきました。5〜6人の個人メディアが1日数件送っています。救急車や警察、大使館の電話番号、それに無料Wi-Fiの案内も。時には避難所の案内もきます。10万人以上が一度にそれを見ていますから、一人がコメントをすると「いいね」が一気に500とか600とかつきます。

ではあまり恐怖心はなかったということ?

いえいえ怖いですよ。台風は中国ではほとんど発生しませんから、どんな状況になるのか、また通過後どんな被害が待っているのか想像もつきませんでしたから。中国に住む両親から電話もくるくらい、中国本土でもネット上で大きな騒ぎになっていたようです。

中国では、洪水と地震、噴火が一変にくると地球が終わるという迷信みたいなものがあり、12日18時頃に、首都圏で震度3の地震が来た時は、本当に死ぬのではないかと思うくらい怖かったです。

個人メディアの人はどういった目的で災害情報を配信しているのですか。

非常事態ですから、これはあくまでもサービス。ただそういうことを行うことで、自身の存在をアピールしたり、本業の物販サイトなどの知名度を高めようとしている可能性はあります。

台風上陸に備えて何か対策を行いましたか。

台風が上陸する前日と前々日に買い物に行きました。水やガスコンロ、食料品、缶詰、クーラーボックス、氷などを買いました。お風呂の水も貯めました。台風中はずっと家の中にいましたが、雨と風の音が酷くなるにつれ、窓ガラスが割れたらどうしようという不安でいっぱいでした。

国内の報道は台風一色でしたが、どんな気持ちで見ていましたか。

日本のテレビは一日中、おんなじニュースと映像だったのでありがたい反面、途中で飽きました。中国ではこれほど同じニュースは流さないので。テレビを見るよりは、ネットばかりを見ていました。

外国人同士で連絡を取り合ったりしましたか。

大学の中国人の友達とはグループラインで連絡を取りました。15名の会話はずっと台風のことでした。一人、日本に来たてで、日本語が得意ではない中国人留学生がいて、土曜日に外に撮影に行くつもりだというので、説得してやめさせました。彼女はことの重大さをよくわかっていなかったです。

また、北区に住んでいる外国人の友人のところに警察官が来て、危険だからと無理やり避難所に連れていったそうです。そこでたくさんの食べ物をもらって、眠るように言われて一泊したと言っていました。それを聞いた時、日本はすごく親切な国だと思いました。

災害時、賃貸住宅を管理する管理会社に何か期待することはありますか?

特にありません。その代わり、日常の鍵の紛失とかどんな時に管理会社に頼ればいいのかさえわからないので、まずは管理会社の役割みたいなものから教えてもらった方がいいです。

災害の多い日本での暮らしをどう思っていますか。

北京で、7年前にすごく雨が降った時、160万人もの人が被害に遭いました。排水が悪くて、たくさんの家屋が浸水しました。災害がそれほどないので、防災や減災に対する知識やノウハウがありません。またそういうインフラが整うまでにはかなり時間がかかると思いました。

日本は災害は多いですが、その分様々な経験が積まれていて、素晴らしい国だと思います。

Hello News編集部 吉松こころ

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