色がもたらす豊かな暮らし

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“DIY可”と言われたけれど…

入居者プロフィール
ミエ。39歳独身女性。職業は役者。「大家さんから、あなたの自由にやっていいわよ」と言われたけれど、DIYなんてできない、やったことない。「理想の住まい」なんて言われてもピンとこない。「こんな私でも自分らしい部屋って作れますか」

部屋の状況
・7畳のワンルーム
・床は濃いめの茶色のフローリング
・南向きで明るい
・壁一面だけ、大家さんが動物の載った赤い壁紙を貼ってしまっている

「色で生活を豊かにすることを考える」会社

「壁の色なんてどうやって選べばいいのかわかりません」

不安でいっぱいのミエが訪ねたのは、総武線快速馬喰町駅からすぐのショールーム。リフォーム会社に勤める友人が「ここに行けば大丈夫」と勧めてくれた、カラーワークスという会社だった。

1Fショールーム

「あ、でもなんかここだけ空気感が違うね」と、エントランスは素人でも感じる洗練された雰囲気が漂っていた。中に入ると、真っ青な壁の部屋に通される。

3F打ち合わせスペース

カラーワークスは、「色で生活を豊かにすることを考える」会社で、色やペイントの専門家が集う。色の力を信じる人達が、顧客一人ひとりに合った色を提案している。

ミエは助言を求め、カラーワークスを訪れた。カラーサポートと呼ばれる相談は1時間半。その人の好みや実現したい暮らし、今すでにある家具や建具とのバランスを考えながら、合った色を提案してくれる。

カラーサポートにかかる費用:1.5時間で1万5000円(税別)+スタイリストの交通費
※ショールーム・現地、どちらでも対応可能

「今から1時間半後には、私の部屋の壁色が決まっているってこと?信じられない」

ミエは、事前に渡されていたヒアリングチェックシートの、好きな色や好きなインテリアテイストを書くだけでも四苦八苦した様子。「これまで自分の家にいても、居心地がいいと思ったことはないんです。今回大家さんに自由にやっていいよと言われて嬉しい反面困っています」と打ち明ける。

そこへ、カラーワークスの川上あすかさんが登場。
名刺には、シニアカラースタイリスト、とある。とびきりの美人だ。

「色って、感情とつながっているんですよ。例えば、暖色と寒色では、同じ条件下でも、3度くらい感じ方が違うと言われています。北向きの寒い部屋に寒色を使うともっと寒く感じてしまう。逆に、寒い脱衣所や洗面所に暖色を使うと暖かく感じる。色の力ってすごいんです」

「なるほど」。色の持つ影響力を知り、やる気に火がついたミエは、見せられたカラーチャートを食い入るように見始めた。

「すでに貼られている壁紙が赤、ということもあるけれど、私、考えてみたら結構赤い色が好きだと思います。洋服も赤色のものが多いかな」。ミエが語り出した。

赤にも色々ある

川上さん
「赤は元気が出る色でいいですね。例えば、赤でもオレンジ系やグレーが入ったような色もあります。それぞれ、鮮やかだったり、エレガントだったりします」

ミエ
「赤と言っても色々あるんだ…」

川上さん
「濃い赤だと夜電気を消した後でも目立ってしまうこともあるし、逆に間接照明に映える赤もあります」

ミエ
「夜とか昼とかのことも考えるんですか?」

川上さん
「生活する時間は外にいるより長いですし、外で疲れた自分をリセットしてまた明日から頑張ろうって思える空間は大事です。そう思いながら選ぶと楽しくなりませんか」

ミエ
「なんだかアイシャドウを選ぶみたい。楽しい」

持参した間取りを元に、梁の位置や窓の位置、サイズ、方角を確認しながら、色を見ていく。日当たりや太陽の入り方も色を決める上で重要な要素だ。照明に電球色を使っているのか、昼白色なのか、でも色は違って見えるという。

「家具があるならその色や柄を引き立てるように、喧嘩しないように」、川上さんは優しく語りかける。

色にもトレンドがある

カラーワークスが販売するペンキ「FARROW&BALL」は合計132色。数あるペンキメーカーの中でも、132色というラインナップは少ない方だ。しかし、一つ一つが絶妙な色でコレクションされている。そして何年かに一度、この色は入れ替わる。

「132色はいわば、前線に出るスタメンの色。カラーチャートから落ちた色ももちろん残りはしますが、色のトレンドを見ながら前線に出る132色を変えています。ちなみに今のトレンドは明るい色というよりもこっくりした色。黄色だったらマスタード、のような」

カラーチャートに載った色とその順番は全て頭に入っているかと聞くと、川上さんは「ほぼ」とニッコリ。

色と共に生きている人だからこそにじみ出る、心の豊さのようなものを感じた。

「やっぱり部屋に入った瞬間、テンションが上がるような赤がいいです」と、突然ミエが言い切った。

「だけどここにテレビを置いてここにソファを置こうと思うので、ソファから見える壁は、落ち着く色がいいです。あ、横になったら天井も見えるんだ。待って、ソファの色、どうしよう」

続けて一言、「私、なんか欲が出てきた!!」

「壁の左右で色を変える、ということもできます。ワンルームなので、色の種類は3色くらいがいいけれど。それと、縦の梁がありましたね?梁だけ色を変えてあえて目立たせるということもできます。“締め色”と言います。天井に色を入れたら“包まれた感じ”も出てきますよ」と川上さん。

そこから20分ほど様々な色の組み合わせや相性の良い色のパターンを提案され、ついにミエは「これだ」という色に辿り着いた。

そのとき、ちょうど相談開始から1時間が経っていた。

「私でもできた!」

家を作る喜び

後日、プランニングシートと選んだ色のサンプルが郵送されてきた。実際の部屋でサンプルを壁に貼って光の加減や明るさとのバランスを確認する。この時点で変更もできる。納得したら購入という流れになる。

「賃貸だからと思って諦めていたけど、こうやって自分の家を作る喜びって味わえるんですね」

しみじみとミエが振り返る。
「同じ白でも青味だったり黄味だったり。あまり真っ白すぎだと緊張すると言われたけれど、言われて納得。白はお年寄りだと眩しく見えたりするそうです。色々な色を提案される中で、意外だけど合うとか、確かにこれは落ち着かないとか、だんだんわかるようになっていく自分がいました。これで実際に自分で塗り終わったら相当自信がつくんじゃないかなと思うんです」

カラーワークスのペンキは施工性がよく初心者でも塗りやすいという特徴がある。職人が一人同席し、一緒に塗りながら教える、ということも可能。その場合、時間は9時〜17時までで、3万5000円(交通費、税金別)という明朗会計だ(道具、塗料は顧客負担)。

川上さんは「準備から実際の施工、後片付けまで教えてもらえます。20平米が一つの目安。一度やると、本当に自信がつく」と微笑む。

もちろん、一括で依頼をすることもできる。

「汚れたら塗るとか、黒から白にでも変えられるとか、考えたこともなかったです。自分の空間を自分で作ることができるなんて思ってもいなかった。出来上がった部屋を毎日見ることで、目に見える自信になっていくと思う」

わずか1時間で、色や部屋に対する考えが一変したミエ。後日、施工に挑む予定だ。

取材日:2019年5月31日
Hello News編集部 吉松こころ

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