<前編>中央学院大学の学生会館がイケアのプロデュースで「学生が集まる空間」に大変身!!

常磐線の我孫子駅からスクールバスで約7分のところにある中央学院大学は、2019年秋、築28年の学生会館「Via」(ヴィア)をリニューアルした。以前は長テーブルにパイプ椅子が並ぶ、学食にありがちな光景だったが、おしゃれなカフェを彷彿とさせるスペースに様変わりしたという。そこで、同大学の入山義裕事務局長と総務部の石毛由香里さん、プロデュースを担当したイケア・ジャパンの福居泰介さんに、リニューアルの経緯を聞いた。

2階の「カフェエリア」は随所にグリーンをあしらい、照明はイケアのペンダントランプ「クナッパ」を使用して温かい雰囲気を演出
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少子化で学生数は減り、学生会館も老朽化!

学生会館「Via」ができた当初は多くの学生で賑わっていたそうですが、どういう理由でリフォームを決断されたのでしょうか?

入山事務局長
「Via」がオープンした1991年頃は、日本の18歳人口が200万人を超えていた時代です。本学でも約5000人の学生が在籍していたので、食事をしたり、お茶を飲んだりするのに大人数を収容できるスペースが必要になり、3階建ての「Via」が誕生しました。
しかし、その後、少子化が進み、学生数も現在は3000人ほど。建物も劣化してきて、利用する学生は減り続け、何となく殺風景で重苦しい雰囲気がありました。既に2階のカフェテリアは閉鎖していたので、学生から再開を望む意見が多かったんです。職員の間でも「このままでいいのだろうか?」という声が上がり、経営会議で審議を行い、2階と3階をリフォームすることになりました。

かつて賑わいを見せていた2階のカフェテリアは既にクローズ。学食として機能していたのは1階の食堂とカフェの2カ所だけだ。そうした状況下で2017年10月、大学の経営会議に「Via」のリフォームを提案。翌月に可決され、リフォームのプロジェクトが発足された。

リフォームのプロジェクトはどのように進められたのでしょうか?

入山事務局長
リフォームにあたり、快適性や使いやすさ、温かい雰囲気など、きめ細やかな視点を取り入れたかったので、女性職員も加わりワーキンググループを作りました。
実際、近隣の商業施設や公立図書館、他大学にも見学に行き、どのようなスタイルが望ましいか、いろんな角度から調査を行って、イメージを固めていったんです。それらを取りまとめてゼネコンなど複数の業者にお伝えし、リフォームの提案をしていただきました。学内で検討を重ねた結果、イケアさんにお願いすることに決まりました。

左から、イケア・ジャパン株式会社の福居泰介さん、中央学院大学の入山義裕事務局長、総務部総務課主任の石毛由香里さん

学生が自然と集まる空間をイケアが演出!

イケアといえばスウェーデン発祥の家具や雑貨の量販店として日本でもおなじみです。手頃な価格と洗練されたデザインが若い世代を中心に受けていますが、イケアにリフォームを依頼された決め手はどういう点にあったのでしょうか?

石毛さん
イケアさんのご提案はプランニングの発想自体が凝り固まっていなくて、随所に遊び心も感じられ、誰が見ても「これいいね」「素敵だね」といった世界観が広がっていました。

入山事務局長
大学としては学生に「温かみのある居場所」を提供したかったんですね。部やサークルに所属していれば部室を利用できますが、そうでない学生にも「くつろげる場所」を、と考えた時に従来の既成概念を打ち破りたいと思いました。むしろ今の学生が好むスタバっぽいイメージとか、少し学校らしくない部分があってもいいのではないかという意見もあって、「学び・憩い・集う」目的に合った新しい空間づくりを目指したんです。
そうした条件にイケアさんのプランニングが一番マッチしていました。

2階の「ミーティングエリア」。壁に掛けられたタペストリーは北欧らしいスタイリッシュな色使いが目を引く。
奥の壁はかつて厨房があった場所で、このタペストリーが目隠しに

確かに今の「Via」は、従来の学食のイメージを払拭した雰囲気があります。インテリアのコーディネートも斬新で、見ていて楽しい気分になりますが、イケアとしてはどの辺に趣向を凝らしてプランニングされたのでしょう?

イケア福居さん
最初に「Via」 を拝見した時、場所も建物もいいのに利用する学生が少ないと伺って、もったいないと思ったんです。学校側も利用者を増やしたいという要望が強かったので、「居心地のよい空間づくり」に重点を置きました。
とはいっても、我々の力だけでは難しい部分がありましたから、プランニングと家具の造作、コーディネートなどはイケアが担当し、設計と施工は全国のホテルや旅館のリフォームを数多く手掛けているJTB商事さんにお願いしました。

具体的にどの部分をリフォームしたのでしょうか?工期と費用も教えていただけますか?

イケア福居さん
基本的に床や壁など使える部分は残して活かす手法を取りました。何でもお金をかければいいわけではありませんから……。
2階は床、天井、壁もそのままでしたが、3階は床と天井が傷んでいたので張り替えました。JTB商事さんにはイケアのインテリアにマッチする素材、色調を選んでいただき、床の張り替えや壁の塗り替えなどもお願いしました。
工期は夏休みの期間を利用して約1カ月。昨年8月1日から施工を行い、9月11日にリニューアルオープンとなりました。費用は工事から家具、照明、雑貨などインテリア製品も入れてトータルで約4000万円です。

真夏の暑い最中、短期間で2フロアの大リニューアルが実現できたのは、ホテルや旅館などのリフォームを得意とする「イケア」と「JTB商事」がタッグを組んだ点も大きかったようだ。さて、夏休みが終わり、新たに生まれ変わった「Via」を見て、学生たちの反応はどうだったのだろうか。 

後編ではビフォーとアフターを比較しながら、リフォームのメリットなどを詳しく伝えていく。

ライター 飯島順子

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