IT社長が実践するリモートワークは秋田・東京&小笠原諸島で

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制作に集中できる環境を再認識

Web制作会社社長の八木澤栄治さんは、東京の顧客が全体の9割を超えた時でも、本社を秋田から移すことはなかった。それどころか、秋田駅徒歩12分に130坪の土地を購入し、本社ビルならぬ本社一軒家を建てた。一見、民家のようにも思えるが、室内は事務所で、20人のSEが勤務している。

主な事業はホームページの制作やソフトウェアの開発。新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中で、企業のオンライン対応強化やインターネット通販の立ち上げなどの依頼が相次ぎ、3月から7月は前年同月比で280%を超える増収となった。「これまで打ち合わせのために使っていた移動時間がなくなり、制作に集中できました。場所が気にならない業種であることを再確認できました」(八木澤さん)

秋田本社での打ち合わせ風景

人員拡大で募集したところ、コロナの影響で東京などの都心から出身地である秋田にUターンする人から相次いで応募があり、3名が入社したという。そのうちの一人は、幼い子供がおり子育てのために戻る決意をしたという。

地方都市らしいエピソードもある。

「車通勤が多いのですが、駐車場が足りなくてご近所の駐車場を借りているんです」

本社一軒家には12台の駐車場スペースがあるが、人手が増えた最近は不足気味。そこで本社から歩ける範囲のお宅を訪問し、庭先の空いているスペースに停めさせてもらえないかと交渉した。年間数千円ほどを支払い、駐車場代わりにしているという。

「毎朝挨拶するからご近所付き合いも生まれていいですよ。こういうところも地方で働く良さかなと思います」(八木澤さん)

場所を問わない働き方を生かて業務効率向上

元々インターネット環境さえあれば場所を選ばない職種である。秋田本社以外に、営業先の拠点として東京事務所を構えてきたが、次なるテレワーク先として八木澤さんが最近行き来しているのは、小笠原諸島。

小笠原諸島の海をバックに撮ったHPのトップ画像

「小笠原諸島の父島や母島などの島は、1000キロ離れた東京都心から海底ケーブルで結ばれているから、データの送受信は東京にいるのと変わらないか、むしろそれ以上の速さなんです。何の不便もないですよ」とのこと。

太平洋に面した堤防に2台のマックを並べ、仕事をする間も聞こえてくるのは時々打ち寄せる波の音だけ。後ろには、2011年に世界自然登録された人の手の入らない自然が剥き出しに広がっている。冬は、運が良ければクジラにも会えると笑う。

「ここならほとんど人に合わないからマスクもいらないし、すぎやヒノキも生息していないため、花粉症からも解放されました。業務の効率は格段に上がったと思います」

場所を問わない働き方が主流になりつつあるとは言え、まさか堤防に座って仕事ができる時代になるとは驚きである。

Hello News編集部 吉松こころ

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