重要事項説明が義務化された「ハザードマップ」をおさらいします!

2020年8月28日に施行された「宅地建物取引業法」の施行規則の一部改正により、不動産会社が重要事項説明を行う際、ハザードマップを使った水害リスクの説明を行うことが義務付けられた。そこでハザードマップの調べ方や、説明時の注意事項などについて紹介する。

目次

ハザードマップの探し方

水害ハザードマップは、各自治体のホームページに掲載されているが、サイトごとに掲載している場所が異なるため、どこを探せばよいのか迷ってしまう場合がある。そういう時は、国土地理院が運営する「ハザードマップポータルサイト」で検索すると簡単だ。

❶「ハザードマップポータルサイト」にアクセスすると、トップ画面に「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」が表示される。❷「わがまちハザードマップ」を使用し、❸検索スペースで「地図で選ぶ」または「まちを選ぶ」から調べたい市区町村を選択する。

次に、検索した自治体が公表している❹災害種別が表示される。改正法では水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水・高潮)の説明が義務化されているため、今回は❺洪水をクリック。すると、その自治体の洪水ハザードマップが掲載されているページに移動する。

❻新宿区洪水ハザードマップをクリックすると、新しいウインドウが立ち上がり、広域図が表示される。❼メニューには、「住所検索」「凡例表示」「避難所一覧」「地図のリンク」「ヘルプ」があり、重要事項説明時に使う「住所検索」「凡例表示」「避難所一覧」は、それぞれ以下の通りだ。

住所検索:物件住所で検索し、物件の近くのハザードマップが表示される
凡例表示:浸水した場合に想定される水深と色の見方が表示される

避難所一覧:地区ごとに避難先の避難所住所と施設名が表示される

また、❽を使えば、地図上で拡大・縮小し、検索したい場所を確認することが可能だ。

自治体ごとにハザードマップの操作方法は異なるが、基本的にはここで紹介した東京都新宿区と似たような画面が表示される。しかし、紙だけの配布でサイトにリンクされていなかったり、最新のものが掲載されていない自治体もあるため、その際は各自治体の担当窓口まで問い合わせする必要がある。

重要事項説明時の注意事項

改正法により、賃貸借契約時の重要事項説明時に、ハザードマップ上で対象物件の位置を契約者に示すことが義務付けられた。とはいえ、ハザードマップを見て、どういったポイントを契約者に伝えればよいのだろうか。

東京・新宿駅にある管理会社勤務の40代宅建士によると、「ハザードマップ上で物件の位置のみを契約者に示したとしても意味がありません。そこから水害リスクを読み取り、どのように伝えるのかが重要です」と話す。

例えば、1時間当たりの降水量から、どれくらい雨が続けば対象物件が浸水するのか、土砂崩れが発生する可能性はあるのか、というように、様々な場面を想定し、起こりうる水害リスクの可能性を伝えることがポイントだという。

その際、義務ではないが、水害が発生した際の避難場所までの距離を伝えることも忘れてはならない点だという。また、ハザードマップ上で浸水想定地域に該当しない、イコール水害リスクはない、というような説明は避け、どこに住んでいても多少なりとも水害のリスクはあるという認識を持ってもらうことも重要だそうだ。

昨今、平成30年7月豪雨(広島県)や令和元年東日本台風(関東)など、大規模水害が頻繁に起きている。国土交通省はこうした現状を受け、不動産取引時に水害リスクが契約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっていると判断し、今回の改正に至った。

とはいえハザードマップでの説明義務は、重要事項説明時、つまり入居希望者が申し込みを終えた後。そのタイミングが正しいかどうかの判断は、今後の課題となるのかもしれない。

改正法が施行される前の2019年11月27日、私はスターツピタットハウス株式会社が主催したロールプレイング大会「接客コンテスト2019」に取材で参加した。そこでは、仲介店舗のスタッフ全員が、来店客に対してハザードマップの地図を片手に物件を紹介していた。法律で定められたから水害リスクを説明する…のではなく、事前に水害リスクを知ってもらったうえで、相手の立場に立ってご案内から契約まで進めていく、という姿勢を垣間見た。

Hello News編集部 鈴木規文

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