なぜ?コロナで減った犯罪の発生件数

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、雇い止めになった人は、厚生労働省によると9月23日時点で6万439人に上る。

そのせいというわけではないだろうが、このところ、近所の川沿いの遊歩道にホームレスらしき人の姿が目立ち始めているように思う。

景気が悪くなると犯罪が増えるといった話を耳にするが、実際のところはどうなのだろうか。前年と比べてどれくらい犯罪が発生しているのか調べた。

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空き巣は前年同期比25.8%減

警察庁総務課広報室の担当者によると「犯罪の発生件数は今年1月から9月の間でみると、前年同期比で下がっています」とのこと。理由は、新型コロナの影響で、人々が外出を自粛するようになり、これまで日中は外にいた人たちが家にいることが理由の一つと考えられるからだという。言い換えると、街に人がいなくなったことで、犯罪者が犯罪に手を染める機会が減ったから、ということになる。多くの人が在宅ワークやおウチ時間をしていたため、空き巣などの住居侵入も起こらず、犯罪者も家でひっそりとこもっていた、というわけだ。

同庁が発表している犯罪統計資料(2020年1月~9月)によると、空き巣の発生件数は1万537件だが、前年同期と比べると3658件で25.8%も減少している。他にも侵入盗と言われる住宅に侵入して起きる犯罪では、忍込み(就寝中の侵入)が20.7%減の4659件、居空き(在宅中の侵入)が19.9%減の882件となっている。

■犯罪種別ごとの認知件数(一部抜粋)

警察庁「犯罪統計資料(2020年1月~9月)」を基に編集部で作成

街中などの街頭で起きる犯罪としては、自動車や自転車、バイクの窃盗件数も前年同期比27%減の10万1493件とこちらも大幅に減少している。また、殺人や強盗などの凶悪犯も3349件で5.9%減だ。

なお、犯罪ではないが、外出自粛の影響により、交通事故の発生件数も減少している。「交通事故統計月報(令和2年9月末)」によると、2020年9月は2万5250件で前年同月比15.8%減となっている。

とはいえ日本よりもコロナ感染が深刻な海外、例えばブラジルにおいては、今年1月から6月までの殺人事件の数が前年同期に比べて7.1%上昇しているとブラジル政府が発表した。また、アメリカでは多くの店舗が閉まり、街に人がいなくなったことが、日本とは反対に犯罪者の動きを活発化させてしまっており、アメリカ政府によると不法侵入件数が前年から46%増の2242件、自動車盗が61%増の1292件となっているという。

効果的な防犯対策

こうした現状を鑑みるに、海外同様、日本でもコロナ感染が深刻になると、犯罪は増えるのだろうか。心配なのは、冬になるとコロナウイルスの活動が更に活発になると言われている点だ。このままコロナの影響が続き、失業者が増えれば、世界一安全と言われる日本の治安が乱れていく可能性だってある。

前出の担当者は、「犯罪を防ぐには日頃から防犯対策をしておくと良いでしょう。セキュリティカメラや防犯ブザーなどが効果的です。また、もし犯罪に巻き込まれてしまった場合は、決して自分で解決しようとせず、最寄りの警察署まで相談してほしい」と話す。

現時点のデータだけに囚われることなく、先を見据えた対策が重要だと感じた。

Hello News編集部 鈴木規文

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