「映える物件写真」の撮影術

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物件写真の重要性

「最初の2秒が大事」

以前、「住まいサーフィン」や不動産ビッグデータの企業として知られるスタイルアクト株式会社の沖有人社長を取材した時、言われた言葉だ。

「建物の印象は出会って2秒で決まります。男女の関係と一緒です」

なるほど、エントランスにせっせと花を植え、玄関周りはとにかくきれいにして「ぱっと目に入るところには一輪挿しを飾るのよ」と話していた賃貸オーナーの顔が浮かんだ。

CDやレコードの世界では「ジャケ買い」という言葉も存在するように、視覚の印象だけで思わず買ってしまった経験は誰しもあるはず。

ちなみに、最近のお弁当は人の目線の特性に配慮したものであり、人はZ線で視線を動かす癖があることから、左側にメインのおかずがきて、最後に見る右下にご飯とラベルがあるそうだ。

そんなふうに私たちは、常々「映えた」写真も商品を見て暮らし、それにより消費活動を突き動かされている部分は多方面である。

では、賃貸住宅の業界はどうだろう!

2020年10月に発表された不動産情報サイト事業者協議会「不動産情報サイト利用者意識アンケート」によると、不動産会社を選ぶ際に決め手となるポイントに、入居希望者の84.1%の人が「写真の点数が多い」を選んだそうだ。

また、物件を探す際に必要だと思う情報には、トイレやバス、リビング、キッチンの写真など、掲載写真に関する項目が上位10項目中9項目でランクインするなど、インターネットでの物件探しが主流となる中、改めて物件写真の重要性が分かる結果となった。

しかし、物件写真が掲載されていれば、それだけで問い合わせが増えるわけではない、というのは周知の事実。リビング6畳と記載があっても写真だと実際より狭く見えていたらどうだろうか。写真が暗くて部屋の雰囲気が分からなかったらどうだろうか。いびつな形になっていたら、どこのスペースか分からなかったら…、など、写真を撮る人にもある程度のスキルは求められることだろう。

そこで、フォトサービスJINの代表兼カメラマンの神永慎二郎さんに、物件を魅力的に見せることができるテクニックを聞いた。

3つの基本的なテクニック

  • 低めに撮る
    カメラの位置(アイレベル)は腰の高さより少し上(床上100センチ前後)あたりに固定すると、圧迫感のない広々と見える写真が撮れます。スマートフォンで撮影する場合は、スマホを上下逆さまに持って撮ると、アイレベルが下がってちょうど良い位置で撮影できます。
編集部で撮影
  1. まっすぐに撮る
    横のラインが水平になるように撮影します。設定からグリッドラインを表示させることができます。手ブレを防ぐには三脚を使うと良いでしょう。
編集部で撮影
  • 光レベルを調整する
    もっと「映える」ためには編集も必要です。例えば、窓にカメラを向けると外光に露出レベルが合うので、部屋が暗く写ってしまいます。必ず露出補正で調整し、明るくしましょう。

撮影場所ごとのワンポイントレッスン

  • リビング
    PCで閲覧されることを想定し、リビングは横位置で撮影しましょう。吹き抜けなど高さのある空間を撮る場合は縦位置で撮影します。また、部屋の四隅から対角線上に撮る場合は、部屋の角が写真中央にくるように意識すると、シンメトリー効果で落ち着いた構図になります。
編集部で撮影
  • 浴室・トレイ・キッチン
    狭い場所ではできるだけ後ろに下がり、縦位置で写真を撮ります(アイレベルは床上100センチくらい)。基本的には照明をオンにした状態で撮影しますが、照明器具には電球色(オレンジ)や昼光色(青っぽい白)など様々な色味があるため、必ず撮影後にカラー調整をしましょう。
編集部で撮影
  • 目を惹く場所
    物件の魅力と思われる場所は、しっかりフォーカスして撮影することが大切です。ただし、場所によっては位置関係を知らせるためにすぐ隣にあるものを構図に収めることも必要です。
編集部で撮影

新型コロナの影響により、インターネットを活用した物件紹介の機会は更に増えるだろう。不動産会社にとっては、去年に引き続き今年もコロナ禍での繁忙期を迎える中で、今一度、物件写真を見直してみてはいかがだろうか。

Hello News編集部

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